December 30, 2021 Vol. 385 No. 27
小児 HIV-1 感染症の一次または二次治療としてのドルテグラビル
Dolutegravir as First- or Second-Line Treatment for HIV-1 Infection in Children
A. Turkova and Others
ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染小児では,有効な抗レトロウイルス療法(ART)の選択肢は限られている.
一次または二次 ART を開始する小児・思春期児を対象に,HIV インテグラーゼ阻害薬ドルテグラビルを主体とする 3 剤併用 ART を,標準治療(ドルテグラビルを用いない ART)と比較する非盲検無作為化非劣性試験を行った.主要エンドポイントは 96 週の時点までにウイルス学的または臨床的治療失敗となった参加者の割合とし,Kaplan–Meier 法で推定した.安全性を評価した.
2016 年 9 月~2018 年 6 月に,体重 14 kg 以上の小児・思春期児計 707 例を,ドルテグラビルを主体とする ART を受ける群(350 例)と,標準治療を受ける群(357 例)に無作為に割り付けた.年齢の中央値は 12.2 歳(範囲 2.9~18.0),体重の中央値は 30.7 kg(範囲 14.0~85.0),49%は女児であった.計画に従い,311 例(44%)で一次 ART(標準治療群では 92%がエファビレンツを主体とする ART)を開始し,396 例(56%)で二次 ART(標準治療群では 98%がブーストした HIV プロテアーゼ阻害薬を主体とする ART)を開始した.追跡期間の中央値は 142 週であった.96 週の時点までに,ドルテグラビル群の 47 例と標準治療群の 75 例で治療失敗となった(推定確率 0.14 対 0.22,差 -0.08,95%信頼区間 -0.14~-0.03,P=0.004).治療効果は一次治療と二次治療で同程度であった(異質性の P=0.16).重篤な有害事象はドルテグラビル群の 35 例と標準治療群の 40 例で少なくとも 1 件発現し(P=0.53),グレード 3 以上の有害事象はそれぞれ 73 例と 86 例に少なくとも 1 件発現した(P=0.24).ART の変更にいたった有害事象は,ドルテグラビル群の 5 例と標準治療群の 17 例で少なくとも 1 件発現した(P=0.01).
一次または二次治療を開始する HIV-1 感染小児・思春期児を対象としたこの試験で,ドルテグラビルを主体とする ART は標準治療よりも優れていた.(ヴィーブヘルスケア社から研究助成を受けた.ODYSSEY 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02259127,EudraCT 登録番号 2014-002632-14,ISRCTN 登録番号 ISRCTN91737921)