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July 29, 2021 Vol. 385 No. 5

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若年発症 2 型糖尿病における長期の合併症
Long-Term Complications in Youth-Onset Type 2 Diabetes

TODAY Study Group

背景

若年者における 2 型糖尿病の有病率は上昇しているが,成人期への移行に伴う関連合併症の発生に関してはほとんどわかっていない.

方 法

以前行った多施設共同臨床試験(2004~11 年)では,2 型糖尿病を若年期に発症した患者に 3 つの治療(メトホルミン,メトホルミン+ロシグリタゾン [rosiglitazone],メトホルミン+強化生活習慣介入)のいずれかを行い,血糖コントロール喪失までの時間に及ぼす影響を評価した.試験完了後,治療をメトホルミン単独,またはメトホルミンとインスリンの併用に移行し,患者を観察的追跡研究(2011~14 年と 2014~20 年の 2 期間で実施)に登録した.本稿ではこの追跡研究の結果を報告する.糖尿病性腎臓病,高血圧,脂質異常症,神経障害の評価を年 1 回,網膜症の評価を 2 回行った.研究外で同定された糖尿病関連イベントの確認と評価を行った.

結 果

追跡研究の第 2 期の終了時点(2020 年 1 月)で,解析対象の 500 例の年齢の平均(±SD)は 26.4±2.8 歳であり,糖尿病と診断されてからの期間の平均は 13.3±1.8 年であった.高血圧の累積罹患率は 67.5%,脂質異常症の罹患率は 51.6%,糖尿病性腎臓病の罹患率は 54.8%,神経障害の罹患率は 32.4%であった.網膜症の有病率は,進行したものも含めて 2010~11 年の期間で 13.7%,2017~18 年の期間で 51.0%であった.患者の 60.1%で 1 つ以上の合併症が生じ,28.4%で 2 つ以上の合併症が生じた.合併症発生の危険因子は少数人種・民族,高血糖,高血圧,脂質異常症などであった.追跡期間中に有害事象は記録されなかった.

結 論

若年発症 2 型糖尿病患者では,細小血管合併症をはじめとする合併症のリスクが経時的に増加し,大多数が成人早期までに合併症を発症した.合併症は少数人種・民族の患者や,高血糖,高血圧,脂質異常症を有する患者でより頻度が高かった.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01364350,NCT02310724)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 416 - 26. )