December 16, 2021 Vol. 385 No. 25
米国の医療従事者における mRNA Covid-19 ワクチンの有効性
Effectiveness of mRNA Covid-19 Vaccine among U.S. Health Care Personnel
T. Pilishvili and Others
米国の医療従事者では,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を引き起こす重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に対する 2 つのメッセンジャー RNA(mRNA)ワクチンの早期接種が優先的に行われ,これらの新しいワクチンのリアルワールドでの有効性評価が可能であった.
米国 25 州の医療従事者において,検査陰性者を対照とする症例対照(test-negative case–control)研究を行った.症例は,SARS-CoV-2 のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査または抗原検査が陽性であることと,Covid-19 様症状を 1 つ以上有することと定義した.対照は,症状にかかわらず,SARS-CoV-2 の PCR 検査が陰性であることと定義し,検査日の週と施設を症例とマッチさせた.年齢,人種・民族,基礎疾患,Covid-19 患者への曝露で補正後,条件付きロジスティック回帰分析を用いて,部分接種(1 回目の接種後 14 日目から,2 回目の接種後 6 日目までのあいだに評価)と,完全接種(2 回目接種後 7 日目以降に評価)のワクチンの有効性を推定した.
症例 1,482 例,対照 3,449 例を対象とした.部分接種でのワクチンの有効性は,BNT162b2 ワクチン(ファイザー社–ビオンテック社)で 77.6%(95%信頼区間 [CI] 70.9~82.7),mRNA-1273 ワクチン(モデルナ社)で 88.9%(95% CI 78.7~94.2)であった.完全接種でのワクチンの有効性は,それぞれ 88.8%(95% CI 84.6~91.8)と 96.3%(95% CI 91.3~98.4)であった.ワクチンの有効性は,年齢(50 歳未満または 50 歳以上),人種・民族,基礎疾患の有無,患者との接触の程度で定義したサブグループにおいても同程度であった.2 回目の接種後 9~14 週目のワクチンの有効性の推定値は,3~8 週目よりも低かったが,9~14 週目の信頼区間は広く,重なりがあった.
BNT162b2 ワクチンと mRNA-1273 ワクチンは,リアルワールドでの医療従事者の症状を伴う Covid-19 の予防において,有効性が高かった.これらの医療従事者には,重症 Covid-19 のリスクを有する人や,パンデミックによる罹患者が不均衡に多い人種・民族が含まれた.(米国疾病対策センターから研究助成を受けた.)