The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 16, 2021 Vol. 385 No. 25

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

米国の医療従事者における mRNA Covid-19 ワクチンの有効性
Effectiveness of mRNA Covid-19 Vaccine among U.S. Health Care Personnel

T. Pilishvili and Others

背景

米国の医療従事者では,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を引き起こす重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に対する 2 つのメッセンジャー RNA(mRNA)ワクチンの早期接種が優先的に行われ,これらの新しいワクチンのリアルワールドでの有効性評価が可能であった.

方 法

米国 25 州の医療従事者において,検査陰性者を対照とする症例対照(test-negative case–control)研究を行った.症例は,SARS-CoV-2 のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査または抗原検査が陽性であることと,Covid-19 様症状を 1 つ以上有することと定義した.対照は,症状にかかわらず,SARS-CoV-2 の PCR 検査が陰性であることと定義し,検査日の週と施設を症例とマッチさせた.年齢,人種・民族,基礎疾患,Covid-19 患者への曝露で補正後,条件付きロジスティック回帰分析を用いて,部分接種(1 回目の接種後 14 日目から,2 回目の接種後 6 日目までのあいだに評価)と,完全接種(2 回目接種後 7 日目以降に評価)のワクチンの有効性を推定した.

結 果

症例 1,482 例,対照 3,449 例を対象とした.部分接種でのワクチンの有効性は,BNT162b2 ワクチン(ファイザー社–ビオンテック社)で 77.6%(95%信頼区間 [CI] 70.9~82.7),mRNA-1273 ワクチン(モデルナ社)で 88.9%(95% CI 78.7~94.2)であった.完全接種でのワクチンの有効性は,それぞれ 88.8%(95% CI 84.6~91.8)と 96.3%(95% CI 91.3~98.4)であった.ワクチンの有効性は,年齢(50 歳未満または 50 歳以上),人種・民族,基礎疾患の有無,患者との接触の程度で定義したサブグループにおいても同程度であった.2 回目の接種後 9~14 週目のワクチンの有効性の推定値は,3~8 週目よりも低かったが,9~14 週目の信頼区間は広く,重なりがあった.

結 論

BNT162b2 ワクチンと mRNA-1273 ワクチンは,リアルワールドでの医療従事者の症状を伴う Covid-19 の予防において,有効性が高かった.これらの医療従事者には,重症 Covid-19 のリスクを有する人や,パンデミックによる罹患者が不均衡に多い人種・民族が含まれた.(米国疾病対策センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : e90 - 0. )