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June 2, 2022 Vol. 386 No. 22

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植物由来の遺伝子組換えアジュバント添加 Covid-19 ワクチンの有効性と安全性
Efficacy and Safety of a Recombinant Plant-Based Adjuvanted Covid-19 Vaccine

K.J. Hager and Others

背景

植物を用いて製造され,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)原株の融合前のスパイク糖蛋白をもつコロナウイルス様粒子(CoVLP)は,アジュバント(Adjuvant System 03 [AS03])との併用でワクチン候補となっている.

方 法

85 施設で行った第 3 相国際共同無作為化プラセボ対照試験において,成人の参加者(18 歳以上)を,CoVLP+AS03 ワクチンを 21 日間隔で 2 回筋肉内注射する群と,プラセボを注射する群に 1:1 の割合で割り付けた.試験の主要目的は,2 回目の注射後 7 日以降に発生する,有症状の新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の予防における CoVLP+AS03 ワクチンの有効性を明らかにすることとし,症例が少なくとも 160 例確認された時点で解析を行った.

結 果

24,141 例のボランティアが試験に参加した.参加者の年齢中央値は 29 歳であった.intention-to-treat 集団において,PCR 法で確認された Covid-19 は 165 例であり,配列決定されたウイルス検体はすべて原株の変異株であった.その 5 つの変異株による,有症状の Covid-19 全体の予防におけるワクチンの有効率は 69.5%(95%信頼区間 [CI] 56.7~78.8)であった.事後解析では,中等症~重症 Covid-19 の予防における有効率は 78.8%(95% CI 55.8~90.8)であり,ベースライン時に血清陰性であった参加者では,有症状の Covid-19 の予防における有効率は 74.0%(95% CI 62.1~82.5)であった.ワクチン群では重症 Covid-19 は発生せず,ワクチン群のブレイクスルー症例におけるウイルス量の中央値は,プラセボ群の症例の 100 分の 1 以下であった.安全性データとして収集した有害事象(solicited adverse event)は,大部分が軽度~中等度で一過性であった.その頻度はワクチン群のほうがプラセボ群よりも高く,局所の有害事象はそれぞれ 92.3%と 45.5%,全身の有害事象は 87.3%と 65.0%に発現した.自発的に報告された有害事象(unsolicited adverse event)の発現率は,1 回目,2 回目接種とも,接種後 21 日目まで 2 群で同程度であり(2 回目接種後は 22.7%と 20.4%),43~201 日目も同程度であった(4.2%と 4.0%).

結 論

CoVLP+AS03 ワクチンは,さまざまな変異株によるCovid-19 の予防に有効であり,有症状の Covid-19 の予防における有効率は 69.5%,中等症~重症 Covid-19 の予防における有効率は 78.8%であった.(メディカゴ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04636697)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 2084 - 96. )