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October 20, 2022 Vol. 387 No. 16

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心停止後昏睡患者における酸素化目標値
Oxygen Targets in Comatose Survivors of Cardiac Arrest

H. Schmidt and Others

背景

院外心停止後の昏睡患者の人工呼吸管理において,適切な酸素化目標値は明らかにされていない.

方 法

2×2 要因デザインの無作為化試験で,院外心停止後,昏睡状態にある成人を,制限的酸素化戦略として動脈血酸素分圧(PaO2)の目標値を 9~10 kPa(68~75 mmHg)にする群と,非制限的酸素化戦略として PaO2 の目標値を 13~14 kPa(98~105 mmHg)にする群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.血圧目標値も 2 つ設定し,患者を割り付けた(別途報告).主要複合転帰は,無作為化後 90 日以内の全死因死亡と,重度の障害または昏睡(脳機能カテゴリー [CPC;1~5 で,数値が高いほど障害が重度であることを示す] が 3 または 4)の状態での退院の,いずれか先に発生したほうとした.副次的転帰は,48 時間の時点での神経特異エノラーゼ値と,90 日の時点での,全死因死亡,モントリオール認知評価(MoCA)スコア(0~30 で,数値が高いほど認知機能が良好であることを示す),修正ランキンスケールスコア(0~6 で,数値が高いほど障害が重度であることを示す),CPC とした.

結 果

789 例が無作為化された.主要転帰イベントは,制限的目標値群の 394 例中 126 例(32.0%),非制限的目標値群の 395 例中 134 例(33.9%)に発生した(ハザード比 0.95,95%信頼区間 0.75~1.21,P=0.69).90 日の時点で,制限的目標値群の 113 例(28.7%),非制限的目標値群の 123 例(31.1%)が死亡していた.CPC の中央値は両群とも 1 であった.修正ランキンスケールスコアの中央値は,制限的目標値群 2,非制限的目標値群 1 であった.MoCA スコアの中央値は両群とも 27 であった.48 時間の時点で,神経特異エノラーゼ値の中央値は,制限的目標値群 17 μg/L,非制限的目標値群 18 μg/L であった.有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

結 論

心停止から蘇生した昏睡患者において,制限的酸素化戦略を用いた群と非制限的酸素化戦略を用いた群とで,死亡率,重度の障害または昏睡の発生率は同程度であった.(ノボ ノルディスク財団から研究助成を受けた.BOX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03141099)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1467 - 76. )