December 15, 2022 Vol. 387 No. 24
再発または難治性のびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫に対するグロフィタマブ
Glofitamab for Relapsed or Refractory Diffuse Large B-Cell Lymphoma
M.J. Dickinson and Others
再発または難治性のびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(DLBCL)患者の予後は不良である.グロフィタマブ(glofitamab)は,腫瘍細胞に T 細胞を誘導する二重特異性抗体である.
第 1・2 相試験の第 2 相パートに,2 種類以上の治療歴を有する再発または難治性の DLBCL 患者を組み入れた.サイトカイン放出症候群を軽減するためにオビヌツズマブによる前治療を行い,その後グロフィタマブの単剤投与を一定期間行った(計 12 サイクル).主要エンドポイントは,独立判定委員会の評価に基づく完全奏効とした.主な副次的エンドポイントは,奏効期間,生存,安全性などとした.
組み入れられた 155 例のうち,154 例が試験薬(オビヌツズマブまたはグロフィタマブ)の投与を 1 回以上受けた.追跡期間中央値 12.6 ヵ月の時点で,患者の 39%(95%信頼区間 [CI] 32~48)で独立判定に基づく完全奏効が得られた.キメラ抗原受容体 T 細胞療法の治療歴がある 52 例でも,同様の結果(35%で完全奏効)が得られた.完全奏効が得られるまでの期間の中央値は 42 日(95% CI 42~44)であった.完全奏効の大部分(78%)は 12 ヵ月の時点で持続していた.12 ヵ月無増悪生存割合は 37%(95% CI 28~46)であった.有害事象により,患者の 9%でグロフィタマブの投与が中止された.もっとも頻度の高かった有害事象は,サイトカイン放出症候群であった(患者の 63%).グレード 3 以上の有害事象は患者の 62%に発現し,グレード 3 以上のサイトカイン放出症候群が 4%,グレード 3 以上の神経学的事象が 3%に発現した.
グロフィタマブ治療は DLBCL に有効であった.患者の半数以上にグレード 3 または 4 の有害事象が認められた.(エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03075696)