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December 15, 2022 Vol. 387 No. 24

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多発性骨髄腫に対する T 細胞リダイレクト GPRC5D 二重特異性抗体タルケタマブ
Talquetamab, a T-Cell–Redirecting GPRC5D Bispecific Antibody for Multiple Myeloma

A. Chari and Others

背景

G 蛋白質共役受容体ファミリー C,グループ 5,メンバー D(GPRC5D)は,悪性形質細胞に発現するオーファン受容体である.CD3 と GPRC5D の二重特異性抗体であるタルケタマブ(talquetamab)は,T 細胞をリダイレクトすることによって,GPRC5D を発現している骨髄腫細胞の殺傷を仲介する.

方 法

第 1 相試験で,確立された治療後に進行を認めた,複数の前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫患者(治療歴は中央値で 6 種類),または忍容できない副作用でこれらの治療を受けることが困難な患者に対する,タルケタマブの週 1 回または 2 週間隔の静脈内投与(用量の範囲:0.5~180 μg/kg 体重)と,週 1 回,2 週間隔,または月 1 回の皮下投与(5~1,600 μg/kg)を評価した.主要エンドポイントは,用量制限毒性(試験のパート 1 のみ),有害事象,臨床検査値異常の頻度と種類とし,第 2 相試験の推奨用量を選択する目的で評価を行った.

結 果

データカットオフ日の時点で,232 例がタルケタマブの投与を受けていた(静脈内投与 102 例,皮下投与 130 例).第 2 相試験の推奨用量となった皮下投与の 2 つの用量(405 μg/kg 週 1 回 [30 例],800 μg/kg 2 週間隔 [44 例])で頻度の高かった有害事象は,サイトカイン放出症候群(それぞれ患者の 77%と 80%),皮膚関連事象(67%と 70%),味覚異常(63%と 57%)であった.サイトカイン放出症候群の 1 件を除くすべての事象がグレード 1 または 2 であった.グレード 3 の皮疹による用量制限毒性 1 件が,タルケタマブ 800 μg の投与を受けていた患者 1 例で報告された.追跡期間の中央値 11.7 ヵ月の時点(タルケタマブ 405 μg の投与を受けていた患者)と,中央値 4.2 ヵ月の時点(800 μg の投与を受けていた患者)で,奏効が得られた患者の割合は,それぞれ 70%(95%信頼区間 [CI] 51~85)と 64%(95% CI 48~78)であった.奏効期間の中央値は,それぞれ 10.2 ヵ月と 7.8 ヵ月であった.

結 論

タルケタマブによる治療はサイトカイン放出症候群,皮膚関連事象,味覚異常の頻度が高かったが,大部分は低グレードであった.複数の前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫患者では,タルケタマブにより相当の割合で奏効が得られた.(ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント社から研究助成を受けた.MonumenTAL-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03399799)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 2232 - 44. )