September 15, 2022 Vol. 387 No. 11
リウマチ性心疾患に伴う心房細動に対するリバーロキサバン
Rivaroxaban in Rheumatic Heart Disease–Associated Atrial Fibrillation
S.J. Connolly and Others
リウマチ性心疾患に伴う心房細動の患者の心血管イベント予防を目的とした第 Xa 因子阻害薬の使用について,検討はほとんど行われていない.
心房細動と,心エコーで確認されたリウマチ性心疾患を有し,次のいずれかに該当する患者を組み入れた:CHA2DS2VASc スコア 2 以上(0~9 の尺度で,スコアが高いほど脳卒中のリスクが高いことを示す),僧帽弁口面積 2 cm2 以下,左房内もやもやエコーの存在,心エコー上の左房内血栓の存在.患者を,標準用量のリバーロキサバンを投与する群と,用量調節したビタミン K 拮抗薬を投与する群に無作為に割り付けた.主要有効性転帰は,脳卒中,全身性塞栓症,心筋梗塞,血管系(心血管,非心血管)の原因による死亡,原因不明の死亡の複合とした.リバーロキサバン療法は,ビタミン K 拮抗薬療法に対して非劣性であるという仮説を立てた.主要安全性転帰は,国際血栓止血学会の定義による大出血とした.
組み入れられた 4,565 例のうち,4,531 例が最終解析の対象となった.患者の平均年齢は 50.5 歳で,72.3%が女性であった.試験薬の恒久的中止の頻度は,すべての受診の時点で,リバーロキサバン群のほうがビタミン K 拮抗薬群よりも高かった.intention-to-treat 解析で,主要転帰イベントはリバーロキサバン群の 560 例と,ビタミン K 拮抗薬群の 446 例に発生した.生存曲線は非比例性を示した.制限付き平均生存期間は,リバーロキサバン群 1,599 日,ビタミン K 拮抗薬群 1,675 日であった(差 -76 日,95%信頼区間 [CI] -121~-31,P<0.001).死亡率は,リバーロキサバン群のほうがビタミン K 拮抗薬群よりも高かった(制限付き平均生存期間 1,608 日 対 1,680 日,差 -72 日,95% CI -117~-28).大出血の発生率に群間で有意差は認められなかった.
リウマチ性心疾患に伴う心房細動の患者に対して,ビタミン K 拮抗薬療法を行った場合,リバーロキサバン療法を行った場合と比較して,心血管イベントと死亡の複合の発生率が低くなった.出血の発生率が高くなることはなかった.(バイエル社から研究助成を受けた.INVICTUS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02832544)