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March 16, 2023 Vol. 388 No. 11

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再発・難治性多発性骨髄腫に対するイデカブタゲン ビクルユーセルと標準レジメンとの比較
Ide-cel or Standard Regimens in Relapsed and Refractory Multiple Myeloma

P. Rodriguez-Otero and Others

背景

3 つのクラスの薬剤への曝露歴がある再発・難治性多発性骨髄腫患者の生存率は不良である.B 細胞成熟抗原を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T 細胞療法であるイデカブタゲン ビクルユーセル(ide-cel)は,複数の前治療歴を有する再発・難治性多発性骨髄腫患者に,深く,持続する奏効をもたらすことが示されている

方 法

2~4 のレジメン(免疫調節薬,プロテアソーム阻害薬,ダラツムマブなど)による治療歴があり,最後のレジメンに抵抗性を示した再発・難治性多発性骨髄腫の成人を対象とした国際共同非盲検第 3 相試験で,患者を,ide-cel(CAR 陽性 T 細胞の用量 150×106~450×106 個)を投与する群と,5 つの標準レジメンのいずれかで治療を行う群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無増悪生存期間とした.重要な副次的エンドポイントは,全奏効(部分奏効以上)と全生存期間とした.安全性を評価した.

結 果

386 例が無作為化され,254 例が ide-cel 群,132 例が標準レジメン群に割り付けられた.患者の 66%は 3 つのクラスの薬剤に抵抗性,95%はダラツムマブに抵抗性の多発性骨髄腫であった.追跡期間中央値 18.6 ヵ月の時点で,無増悪生存期間の中央値は ide-cel 群で 13.3 ヵ月であったのに対し,標準レジメン群では 4.4 ヵ月であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.49,95%信頼区間 0.38~0.65,P<0.001).奏効は,ide-cel 群の患者の 71%と標準レジメン群の患者の 42%で得られ(P<0.001),完全奏効は,それぞれ 39%と 5%で得られた.全生存期間のデータは揃っていなかった.グレード 3 または 4 の有害事象は,ide-cel 群の患者の 93%と,標準レジメン群の患者の 75%に発現した.ide-cel の投与を受けた 225 例のうち,88%にサイトカイン放出症候群が発現し,5%にグレード 3 以上の事象が発現した.また,15%に試験担当医師が同定した神経毒性イベントが発現し,3%にグレード 3 以上の事象が発現した.

結 論

2~4 のレジメンによる治療歴があり,3 つのクラスの薬剤への曝露歴がある再発・難治性多発性骨髄腫患者において,ide-cel 療法は,標準レジメンと比較して,無増悪生存期間を有意に延長させ,奏効を改善した.ide-cel の毒性は過去の報告と一致していた.(2 セブンティ バイオ社,セルジーン社 [ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の子会社] から研究助成を受けた.KarMMa-3 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03651128)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1002 - 14. )