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January 12, 2023 Vol. 388 No. 2

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クライオアブレーション後と薬物療法後とでの心房細動の進行の比較
Progression of Atrial Fibrillation after Cryoablation or Drug Therapy

J.G. Andrade and Others

背景

心房細動は慢性進行性の疾患であり,持続性心房細動になると,血栓塞栓症と心不全の高いリスクを伴う.初回治療としてのカテーテルアブレーションは,心房細動の発症機序を修飾して持続性心房細動への進行を遅らせる可能性がある.

方 法

未治療の発作性心房細動患者を,初回リズムコントロール治療としてクライオバルーンアブレーション(冷凍焼灼術)を行う群と,抗不整脈薬療法を行う群に無作為に割り付けた試験の 3 年間の追跡調査の結果を報告する.試験組入れ時に,全例に植込み型ループ式心電計を植え込み,毎日転送されるデータと,6 ヵ月ごとの対面診察により患者を評価した.持続性心房細動(持続期間が 7 日間以上,または 48 時間~7 日間であるが停止に電気的除細動を要する)の初回エピソード,再発性心房性頻脈性不整脈(30 秒以上持続する心房細動,心房粗動,心房頻脈と定義),心房細動の負荷(心房細動の状態にあった時間の割合),QOL 指標,医療の利用,安全性に関するデータを収集した.

結 果

303 例が組み入れられ,154 例が初回リズムコントロール治療としてクライオバルーンアブレーションを受ける群,149 例が抗不整脈薬療法を受ける群に割り付けられた.36 ヵ月の追跡期間中,持続性心房細動のエピソードはアブレーション群の 3 例(1.9%)に発生したのに対し,抗不整脈薬群では 11 例(7.4%)であった(ハザード比 0.25,95%信頼区間 [CI] 0.09~0.70).再発性心房性頻脈性不整脈は,アブレーション群の 87 例(56.5%)と抗不整脈薬群の 115 例(77.2%)に発生した(ハザード比 0.51,95% CI 0.38~0.67).心房細動の状態にあった時間の割合の中央値は,アブレーション群で 0.00%(四分位範囲 0.00~0.12),抗不整脈薬群で 0.24%(四分位範囲 0.01~0.94)であった.3 年の時点で,アブレーション群の 8 例(5.2%)と抗不整脈薬群の 25 例(16.8%)が入院していた(相対リスク 0.31,95% CI 0.14~0.66).重篤な有害事象は,アブレーション群の 7 例(4.5%)と抗不整脈薬群の 15 例(10.1%)に発現した.

結 論

発作性心房細動の初回治療としてのクライオバルーンを用いたカテーテルアブレーションは,抗不整脈薬投与と比較して,3 年間の追跡期間中,持続性心房細動または再発性心房性頻脈性不整脈の発生率が低いことと関連した.(カナダ不整脈ネットワークほかから研究助成を受けた.EARLY-AF 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02825979)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 105 - 16. )