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January 19, 2023 Vol. 388 No. 3

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トランスジェンダーの若者における 2 年間のホルモン投与後の心理社会的機能
Psychosocial Functioning in Transgender Youth after 2 Years of Hormones

D. Chen and Others

背景

性自認に沿ったホルモン,すなわちジェンダーアファーミングホルモン(GAH,テストステロンまたはエストラジオール)の投与を受けているトランスジェンダーおよびノンバイナリーの若者の転帰に関する,前向きデータは限られている.

方 法

米国のトランスジェンダーおよびノンバイナリーの若者の前向きコホートにおける,GAH 開始後 2 年間の心理社会的機能の長期的経過の特徴を明らかにした.4 施設で行った,身体的転帰と心理社会的転帰に関する前向き観察研究に参加者を組み入れた.ベースラインと GAH 開始後 6,12,18,24 ヵ月の時点で,トランスジェンダー一致尺度,ベック抑うつ質問票–II,改訂版児童用顕在性不安尺度(第 2 版),そして米国国立衛生研究所(NIH)ツールボックス感情評価のなかから,ポジティブ感情と生活満足度の測定を行った.潜在成長曲線モデリングを用いて,2 年の期間における外見の性自認との一致度,抑うつ,不安,ポジティブ感情,生活満足度の個別の軌跡を検討した.外見の最初の一致度と変化率が,各心理社会的転帰とどのように相関するかも検討した.

結 果

12~20 歳(平均 [±SD] 16±1.9 歳)のトランスジェンダーおよびノンバイナリーの参加者 315 例が組み入れられた.190 例(60.3%)がトランスマスキュリン(すなわち,出生時に女性とされ,男性のスペクトラムを自認する人),185 例(58.7%)が非ラテン系白人で,25 例(7.9%)に思春期抑制治療歴があった.研究期間中,外見の一致度,ポジティブ感情,生活満足度が上昇し,抑うつと不安の症状が低下した.外見の一致度の上昇は,同時の,ポジティブ感情と生活満足度の上昇と,抑うつと不安の症状の低下と関連した.もっとも頻度の高かった有害事象は自殺念慮(11 例 [3.5%])で,自殺による死亡が 2 例発生した.

結 論

トランスジェンダーおよびノンバイナリーの若者を対象としたこの 2 年間の研究では,GAH により,外見の一致度と心理社会的機能が改善した.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 240 - 50. )