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June 29, 2023 Vol. 388 No. 26

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潰瘍性大腸炎の導入療法および維持療法としてのミリキズマブ
Mirikizumab as Induction and Maintenance Therapy for Ulcerative Colitis

G. D'Haens and Others

背景

インターロイキン-23 の p19 を標的とする抗体ミリキズマブは,第 2 相試験で潰瘍性大腸炎の治療における有効性を示した.

方 法

中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する成人を対象として,ミリキズマブの第 3 相無作為化二重盲検プラセボ対照試験を 2 件行った.導入療法試験では,患者を,ミリキズマブ群(300 mg)とプラセボ群に 3:1 の割合で無作為に割り付け,静脈内投与を 4 週ごとに 12 週間行った.維持療法試験では,ミリキズマブ導入療法に反応した患者を,ミリキズマブ群(200 mg)とプラセボ群に 2:1 の割合で無作為に割り付け,皮下投与を 4 週ごとに 40 週間行った.主要エンドポイントは,導入療法試験では 12 週の時点,維持療法試験では 40 週(全体の 52 週)の時点での臨床的寛解とした.主要副次的エンドポイントは,臨床的反応,内視鏡的寛解,便意切迫の改善などとした.導入療法試験で反応しなかった患者は,維持療法試験の最初の 12 週間に,延長導入療法としてミリキズマブの非盲検投与を受けられることとした.安全性も評価した.

結 果

導入療法試験では 1,281 例が無作為化され,ミリキズマブに反応した 544 例が維持療法試験で再び無作為化された.ミリキズマブ群では,プラセボ群と比較して,臨床的寛解が得られた患者の割合が導入療法試験の 12 週の時点で有意に高く(24.2% 対 13.3%,P<0.001),維持療法試験の 40 週の時点でも有意に高かった(49.9% 対 25.1%,P<0.001).両試験とも,主要副次的エンドポイントの基準はすべて満たされた.有害事象は,鼻咽頭炎と関節痛がミリキズマブ群でプラセボ群よりも多く発現した.2 試験の対照期,非対照期(非盲検延長導入療法期,非盲検維持療法期を含む)にミリキズマブの投与を受けた 1,217 例のうち,15 例が日和見感染を起こし(帯状疱疹感染 6 例を含む),8 例に癌が発生した(大腸癌 3 例を含む).導入療法試験でプラセボの投与を受けた患者では,1 例が帯状疱疹感染を起こし,癌が発生した患者はいなかった.

結 論

中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎患者において,ミリキズマブは,プラセボよりも臨床的寛解の導入と維持における有効性が高かった.ミリキズマブの投与を受けた患者の少数に日和見感染と癌が発生した.(イーライリリー社から研究助成を受けた.LUCENT-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03518086,LUCENT-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03524092)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 2444 - 55. )