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February 2, 2023 Vol. 388 No. 5

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Covid-19 の経口治療薬としての VV116 とニルマトレルビル+リトナビルとの比較
VV116 versus Nirmatrelvir–Ritonavir for Oral Treatment of Covid-19

Z. Cao and Others

背景

ニルマトレルビル+リトナビルは,多くの国で新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の治療薬として緊急使用承認を受けている.しかし世界の需要に対して供給が不足しており,ほかの選択肢の必要性が生じている.VV116 は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に対して強力な活性を有する経口抗ウイルス薬である.

方 法

SARS-CoV-2 B.1.1.529 系統(オミクロン株)による Covid-19 の集団発生中に,第 3 相非劣性観察者盲検無作為化試験を行った.軽症~中等症の Covid-19 を有し,進行するリスクが高い成人を,それぞれ 5 日間のコースで VV116 を投与する群と,ニルマトレルビル+リトナビルを投与する群に割り付けた.主要エンドポイントは,28 日目までにおける,持続的な臨床的回復が得られるまでの期間とした.持続的な臨床的回復は,対象とした 11 の Covid-19 関連症状が軽減して,症状スコアの合計が 2 日連続で 0 または 1 になることと定義した(各症状のスコアは 0~3 で,数値が高いほど重症であることを示す;合計スコアの範囲は 0~33).ハザード比の両側 95%信頼区間の下限が 0.8 を上回った場合に非劣性が示されることとした(ハザード比が 1 より大きければ,VV116 のほうがニルマトレルビル+リトナビルよりも,持続的な臨床的回復が得られるまでの期間が短いことを示す).

結 果

822 例が無作為化され,771 例が VV116 の投与(384 例)またはニルマトレルビル+リトナビルの投与(387 例)を受けた.持続的な臨床的回復が得られるまでの期間に関する,VV116 のニルマトレルビル+リトナビルに対する非劣性は,主要解析で確立され(ハザード比 1.17,95%信頼区間 [CI] 1.01~1.35),最終解析でも維持されていた(中央値:VV116 で 4 日,ニルマトレルビル+リトナビルで 5 日;ハザード比 1.17;95% CI 1.02~1.36).最終解析では,持続的な症状消失(対象とした 11 の Covid-19 関連症状の各症状のスコアが 2 日連続で 0)が得られるまでの期間と,SARS-CoV-2 検査が最初に陰性になるまでの期間に,2 群間で大きな差はなかった.いずれの群にも,28 日目までに死亡した参加者,重症 Covid-19 に進行した参加者はいなかった.有害事象の発現率は,VV116 群のほうがニルマトレルビル+リトナビル群よりも低かった(67.4% 対 77.3%).

結 論

軽症~中等症の Covid-19 を有し,進行するリスクのある成人において,VV116 は,持続的な臨床的回復が得られるまでの期間に関して,ニルマトレルビル+リトナビルに対して非劣性であり,安全性の懸念は少なかった.(バイゴンビータ ライフサインエンシズ社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05341609,Chinese Clinical Trial Registry 番号 ChiCTR2200057856)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 406 - 17. )