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March 2, 2023 Vol. 388 No. 9

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ヒドロクロロチアジドと腎結石の再発予防
Hydrochlorothiazide and Prevention of Kidney-Stone Recurrence

N.A. Dhayat and Others

背景

腎結石症は,腎臓を侵す病態として頻度が高いものの一つであり,再発リスクが高いのが特徴である.腎結石の再発予防にはサイアザイド系利尿薬が広く用いられているが,プラセボと比較した有効性に関するデータは限られている.さらに,用量反応データも限られている.

方 法

二重盲検試験で,カルシウム含有腎結石の再発を繰り返す患者を,ヒドロクロロチアジドを 12.5 mg,25 mg,50 mg のいずれかの用量で 1 日 1 回投与する群と,プラセボを 1 日 1 回投与する群に無作為に割り付けた.主要目的は,主要エンドポイントに対する用量反応効果を検討することであった.主要エンドポイントは,腎結石の症状を伴う再発と,放射線学的再発の複合とし,放射線学的再発は,画像上の新たな結石の出現,またはベースライン時の画像で観察されていた結石の増大と定義した.安全性も評価した.

結 果

416 例が無作為化され,中央値で 2.9 年間追跡された.主要エンドポイントのイベントは,プラセボ群では 102 例中 60 例(59%),ヒドロクロロチアジド 12.5 mg 群では 105 例中 62 例(59%)(プラセボ群に対する率比 1.33,95%信頼区間 [CI] 0.92~1.93),25 mg 群では 108 例中 61 例(56%)(率比 1.24,95% CI 0.86~1.79),50 mg 群では 101 例中 49 例(49%)(率比 0.92,95% CI 0.63~1.36)に発生した.ヒドロクロロチアジドの用量と,主要エンドポイントのイベント発生とのあいだに関連は認められなかった(P=0.66).ヒドロクロロチアジドの投与を受けた患者では,プラセボの投与を受けた患者と比較して,低カリウム血症,痛風,新規発症の糖尿病,皮膚アレルギー,ベースライン値の 150%を超える血漿クレアチニン値の頻度が高かった.

結 論

腎結石の再発を繰り返す患者に対して,ヒドロクロロチアジドを 12.5 mg,25 mg,50 mg のいずれかの用量で 1 日 1 回投与した場合と,プラセボを 1 日 1 回投与した場合とで,結石の再発率に大きな差はないと考えられた.(スイス国立科学財団,インセルスピタル [ベルン大学病院] から研究助成を受けた.NOSTONE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03057431)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 781 - 91. )