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September 21, 2023 Vol. 389 No. 12

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Covid-19 の外来治療に用いる吸入フルチカゾンフランカルボン酸エステル
Inhaled Fluticasone Furoate for Outpatient Treatment of Covid-19

D.R. Boulware and Others

背景

軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の外来患者の症状消失までの期間の短縮や,入院または死亡の予防における,吸入グルココルチコイドの有効性は明らかにされていない.

方 法

米国で,Covid-19 の診断が確定した外来患者に対する既存薬の転用を評価するため,分散型二重盲検無作為化プラセボ対照プラットフォーム試験を行った.30 歳以上で,登録前 7 日以内に発現した急性感染症状を 2 つ以上有する非入院成人を,フルチカゾンフランカルボン酸エステルを 200 μg の用量で 1 日 1 回,14 日間吸入投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は持続的回復までの期間とし,持続的回復は,3 日連続で症状がない場合の 3 日目と定義した.重要な副次的転帰は,28 日目までの入院または死亡や,28 日目までの緊急診療所または救急部受診の必要性,入院,死亡の複合転帰などとした.

結 果

無作為化後,1,407 例が組み入れられ,715 例が吸入フルチカゾンフランカルボン酸エステルを投与する群,692 例がプラセボを投与する群に割り付けられた.それぞれ 656 例,621 例を解析対象とした.フルチカゾンフランカルボン酸エステルの使用により,回復までの期間がプラセボよりも短くなることを示すエビデンスは認められなかった(ハザード比 1.01,95%信用区間 0.91~1.12,利益 [ハザード比が 1 を超えることと定義] の事後確率 0.56).フルチカゾンフランカルボン酸エステル群では,24 例(3.7%)が緊急診療所受診,救急部受診,入院のいずれかにいたったのに対し,プラセボ群では 13 例(2.1%)であった(ハザード比 1.9,95%信用区間 0.8~3.5).各群 3 例が入院したが,死亡は発生しなかった.有害事象の頻度は両群とも低かった.

結 論

米国の Covid-19 外来患者に対し,吸入フルチカゾンフランカルボン酸エステルによる治療を 14 日間行っても,プラセボを投与した場合と比較して,回復までの期間は短くならなかった.(米国国立先進トランスレーショナル科学センターほかから研究助成を受けた.ACTIV-6 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04885530)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1085 - 95. )