October 5, 2023 Vol. 389 No. 14
グルココルチコイド漸減中のリウマチ性多発筋痛症の再発に対するサリルマブ
Sarilumab for Relapse of Polymyalgia Rheumatica during Glucocorticoid Taper
R.F. Spiera and Others
リウマチ性多発筋痛症患者の半数以上は,グルココルチコイド療法の漸減中に再発する.先行研究からは,インターロイキン-6 の阻害がリウマチ性多発筋痛症の治療に臨床的に有用である可能性があることが示唆されている.ヒトモノクローナル抗体サリルマブは,インターロイキン-6 受容体αに結合し,インターロイキン-6 経路を効果的に阻害する.
第 3 相試験で,患者を,サリルマブ(用量 200 mg)を月 2 回,52 週間皮下投与するとともに,プレドニゾン(prednisone)の漸減投与を 14 週間で行う群と,プラセボを月 2 回,52 週間皮下投与するとともに,プレドニゾンの漸減投与を 52 週間で行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.52 週の時点での主要転帰は持続的寛解とし,12 週目までにリウマチ性多発筋痛症の徴候・症状が消失していること,12~52 週目に C 反応性蛋白値の正常化が持続していること,疾患の再燃がないこと,プレドニゾン漸減が遵守されていることと定義した.
118 例が無作為化された(サリルマブ群 60 例,プラセボ群 58 例).52 週の時点で,持続的寛解はサリルマブ群の 28%(60 例中 17 例)とプラセボ群の 10%(58 例中 6 例)で得られた(差 18 パーセントポイント,95%信頼区間 4~32,P=0.02).52 週の時点でのグルココルチコイド累積投与量の中央値は,サリルマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に少なかった(777 mg 対 2,044 mg,P<0.001).サリルマブ群でとくに頻度の高かった有害事象は,好中球減少症(15% 対 プラセボ群 0%),関節痛(15% 対 5%),下痢(12% 対 2%)であった.治療に関連する投与中止は,サリルマブ群でプラセボ群よりも多く認められた(12% 対 7%).
グルココルチコイド漸減中に再発したリウマチ性多発筋痛症患者において,サリルマブは,持続的寛解の達成とグルココルチコイド累積投与量の減少に,有意な有効性を示した.(サノフィ社,リジェネロン ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.SAPHYR 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03600818)