切除された EGFR 変異陽性非小細胞肺癌にオシメルチニブを投与した場合の全生存期間
Overall Survival with Osimertinib in Resected EGFR-Mutated NSCLC
M. Tsuboi and Others
ADAURA 試験は,IB~IIIA 期上皮成長因子受容体(EGFR)変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)の切除を受けた患者に対する,オシメルチニブによる術後補助療法を検討する試験である.術後補助化学療法歴の有無にかかわらず,無病生存期間はプラセボに比べて有意に延長した.同試験で予定していた全生存期間の最終解析の結果を報告する.
第 3 相二重盲検試験で,適格患者をオシメルチニブ(80 mg を 1 日 1 回)群とプラセボ群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,再発を認めるまで,試験レジメンを完了するまで(3 年間),または中止基準に該当するまで投与を行った.主要エンドポイントは,II~IIIA 期の患者における無病生存期間とし,試験担当医師が評価した.副次的エンドポイントは,IB~IIIA 期の患者における無病生存期間,全生存期間,安全性などとした.
無作為化された 682 例のうち,339 例がオシメルチニブの投与を受け,343 例がプラセボの投与を受けた.II~IIIA 期の患者における 5 年全生存率は,オシメルチニブ群で 85%,プラセボ群で 73%であった(死亡の全ハザード比 0.49,95.03%信頼区間 [CI] 0.33~0.73,P<0.001).集団全体(IB~IIIA 期の患者)における 5 年全生存率は,オシメルチニブ群で 88%,プラセボ群で 78%であった(死亡の全ハザード比 0.49,95.03% CI 0.34~0.70,P<0.001).前回報告したデータカットオフ日後に発現した重篤な有害事象として,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に関連する肺炎 1 件が報告された(試験レジメンには関連しないと試験担当医師に判断され,患者は完全に回復した).術後補助療法としてのオシメルチニブの安全性プロファイルは,主要解析の安全性プロファイルと一致していた.
IB~IIIA 期 EGFR 変異陽性 NSCLC の完全切除を受けた患者において,オシメルチニブによる術後補助療法は,全生存期間に有意な利益をもたらした.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.ADAURA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02511106)