October 26, 2023 Vol. 389 No. 17
Covid-19 による ARDS で人工呼吸管理を受けている患者に対する回復者血漿
Convalescent Plasma for Covid-19–Induced ARDS in Mechanically Ventilated Patients
B. Misset and Others
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の治療には,回復者から採取した血漿による受動免疫がしばしば行われてきた.Covid-19 による急性呼吸促迫症候群(ARDS)患者に対する回復者血漿の使用に関して,利用できるデータは非常に少ない.
非盲検試験で,Covid-19 による ARDS を発症し,侵襲的人工呼吸管理が開始されて 5 日未満の成人患者を,中和抗体価 1:320 以上の回復者血漿を投与する群と,標準治療のみを行う群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.無作為化は,気管挿管から組入れまでの時間で層別化した.主要転帰は 28 日目までの死亡とした.
2020 年 9 月~2022 年 3 月に 475 例が無作為化された.全体で,237 例が回復者血漿投与を受ける群,238 例が標準治療を受ける群に割り付けられた.回復者血漿の不足により,回復者血漿群の患者の 17.7%には,中和抗体価 1:160 の血漿が投与された.466 例(98.1%)にグルココルチコイドが投与された.28 日目までの死亡率は,回復者血漿群 35.4%,標準治療群 45.0%であった(P=0.03).事前に規定した解析では,この効果は主に,侵襲的人工呼吸管理開始後 48 時間以内に無作為化された患者で観察された.重篤な有害事象に 2 群間で顕著な差はなかった.
Covid-19 による ARDS 患者に,回復者ドナーから採取した中和抗体価 1:160 以上の血漿を,侵襲的人工呼吸管理開始後 5 日以内に投与すると,28 日目までの死亡率は有意に減少した.この効果は主に,人工呼吸管理開始後 48 時間以内に無作為化された患者で観察された.(ベルギーヘルスケアナレッジセンターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04558476)