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November 2, 2023 Vol. 389 No. 18

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発作性心房細動に対するパルスフィールドアブレーションと従来の熱アブレーションとの比較
Pulsed Field or Conventional Thermal Ablation for Paroxysmal Atrial Fibrillation

V.Y. Reddy and Others

背景

カテーテルによる肺静脈隔離術は,発作性心房細動の有効な治療法である.パルスフィールドアブレーションは,マイクロ秒の高電圧をかけて電界を作ることから,心筋以外の組織の損傷を抑える可能性がある.パルスフィールドアブレーションの,従来の熱アブレーションと比較した有効性と安全性は明らかにされていない.

方 法

無作為化単盲検非劣性試験で,薬剤抵抗性の発作性心房細動患者を,パルスフィールドアブレーションを施行する群と,従来の高周波アブレーションまたはクライオバルーンアブレーションを施行する群に,1:1 の割合で割り付けた.主要有効性エンドポイントは,初回手技の失敗,3 ヵ月間のブランキング期間後に記録された心房性頻脈性不整脈,抗不整脈薬の使用,電気的除細動,再アブレーションの複合イベントが発生していないこととした.主要安全性エンドポイントは,デバイス関連または手技関連の急性・慢性の重篤な有害事象とした.

結 果

305 例がパルスフィールドアブレーション群,302 例が熱アブレーション群に割り付けられた.1 年の時点で,主要有効性エンドポイントが達成された(すなわち,イベントが発生しなかった)のは,パルスフィールドアブレーション群では 204 例(推定確率 73.3%),熱アブレーション群では 194 例(推定確率 71.3%)であった(群間差 2.0 パーセントポイント,95%ベイズ信用区間 -5.2~9.2,非劣性の事後確率>0.999).主要安全性エンドポイントのイベントは,パルスフィールドアブレーション群の 6 例(推定発生率 2.1%)と,熱アブレーション群の 4 例(推定発生率 1.5%)に発生した(群間差 0.6 パーセントポイント,95%ベイズ信用区間 -1.5~2.8,非劣性の事後確率>0.999).

結 論

カテーテル治療を行う発作性心房細動患者において,パルスフィールドアブレーションは,1 年の時点での,初回手技の失敗,3 ヵ月間のブランキング期間後に記録された心房性頻脈性不整脈,抗不整脈薬の使用,電気的除細動,再アブレーションの複合イベントが発生していないこと,およびデバイス関連または手技関連の重篤な有害事象に関して,従来の熱アブレーションに対して非劣性を示した.(ファラパルス–ボストン・サイエンティフィック社から研究助成を受けた.ADVENT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04612244)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1660 - 71. )