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November 30, 2023 Vol. 389 No. 22

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治療歴のある小細胞肺癌患者に対するタルラタマブ
Tarlatamab for Patients with Previously Treated Small-Cell Lung Cancer

M.-J. Ahn and Others

背景

タルラタマブ(tarlatamab)は,デルタ様リガンド 3 と CD3 を標的とする二重特異性 T 細胞誘導抗体による免疫療法薬であり,治療歴のある小細胞肺癌患者を対象とした第 1 相試験では有望な抗腫瘍活性を示した.

方 法

第 2 相試験で,治療歴のある小細胞肺癌患者にタルラタマブ 10 mg または 100 mg を 2 週間隔で静脈内投与した場合の抗腫瘍活性と安全性を評価した.主要エンドポイントは客観的奏効(完全奏効または部分奏効)とし,独立中央判定委員会が固形癌治療効果判定基準(RECIST)バージョン 1.1 に基づき盲検下で評価した.

結 果

試験全体で 220 例がタルラタマブの投与を受けた.前治療数の中央値は 2 であった.抗腫瘍活性と生存が評価された患者の追跡期間の中央値は,10 mg 群で 10.6 ヵ月,100 mg 群で 10.3 ヵ月であった.客観的奏効割合は 10 mg 群で 40%(97.5%信頼区間 [CI] 29~52),100 mg 群で 32%(97.5% CI 21~44)であった.客観的奏効が得られた患者の 59%(68 例中 40 例)では,奏効期間が 6 ヵ月以上であった.データカットオフ時点で客観的奏効が持続していたのは,10 mg 群の 40 例中 22 例(55%)と,100 mg 群の 28 例中 16 例(57%)であった.無増悪生存期間の中央値は 10 mg 群で 4.9 ヵ月(95% CI 2.9~6.7),100 mg 群で 3.9 ヵ月(95% CI 2.6~4.4)であり,9 ヵ月の時点での全生存割合の推定値はそれぞれ 68%と 66%であった.とくに頻度が高かった有害事象は,サイトカイン放出症候群(10 mg 群で 51%,100 mg 群で 61%),食欲不振(それぞれ 29%と 44%),発熱(35%と 33%)であった.サイトカイン放出症候群は主に投与サイクル 1 で発現し,グレードは患者の大部分で 1 または 2 であった.グレード 3 のサイトカイン放出症候群の発現頻度は,10 mg 群(患者の 1%)のほうが 100 mg 群(6%)よりも低かった.治療関連有害事象によりタルラタマブを中止した患者の割合は低かった(3%).

結 論

治療歴のある小細胞肺癌患者に対して,タルラタマブ 10 mg を 2 週間隔で投与した場合に,抗腫瘍活性,持続的な客観的奏効,有望な生存転帰が認められた.新たな安全性シグナルは確認されなかった.(アムジェン社から研究助成を受けた.DeLLphi-301 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05060016)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 2063 - 75. )