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December 14, 2023 Vol. 389 No. 24

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65 歳未満の成人に対する遺伝子組換えインフルエンザワクチンと標準用量のインフルエンザワクチンとの比較
Recombinant or Standard-Dose Influenza Vaccine in Adults under 65 Years of Age

A. Hsiao and Others

背景

4 価遺伝子組換えインフルエンザワクチンには,鶏卵を用いた標準用量のワクチンの 3 倍量のヘマグルチニン蛋白が含まれており,遺伝子組換え技術による製造は,頻繁に起こる抗原性変化(抗原ドリフト)の影響を受けにくい.65 歳未満の成人のインフルエンザ関連転帰の防御における,標準用量のワクチンと比較した遺伝子組換えワクチンの相対的な有効率に関するデータが必要である.

方 法

クラスター無作為化観察研究において,カイザーパーマネンテ北カリフォルニアの施設で,高用量の遺伝子組換えインフルエンザワクチン(Flublok Quadrivalent),または標準用量のインフルエンザワクチン(2 種類のうち 1 種類)を,2018~19 年と 2019~20 年のインフルエンザシーズンに,50~64 歳の成人(主要年齢群)と 18~49 歳の成人にルーチンに接種した.ワクチンは,各施設で 1 週間ごとに入れ替えた.主要転帰は,PCR 検査で確認されたインフルエンザ(A または B)とした.副次的転帰は,インフルエンザ A,インフルエンザ B,インフルエンザ関連入院転帰とした.Cox 回帰分析を用いて,それぞれの転帰に対する,標準用量のワクチンと比較した遺伝子組換えワクチンのハザード比を推定した.1 からハザード比を引いて,相対的なワクチン有効率を算出した.

結 果

研究対象集団は,18~64 歳のワクチン接種者 1,630,328 例(遺伝子組換えワクチン群 632,962 例,標準用量群 997,366 例)であった.研究期間中,遺伝子組換えワクチン群の 1,386 例,標準用量群の 2,435 例でインフルエンザが確認された.50~64 歳の参加者では,PCR でインフルエンザ陽性となったのは,遺伝子組換えワクチン群では 559 例(1,000 例あたり 2.00 例)であったのに対し,標準用量群では 925 例(1,000 例あたり 2.34 例)であった(相対的なワクチン有効率 15.3%,95%信頼区間 [CI] 5.9~23.8,P=0.002).同年齢群におけるインフルエンザ A に対する相対的なワクチン有効率は 15.7%(95% CI 6.0~24.5,P=0.002)であった.インフルエンザ関連入院に対する防御効果は,遺伝子組換えワクチンは標準用量のワクチンと比較して有意に高くはなかった.

結 論

50~64 歳の成人において,高用量の遺伝子組換えワクチンにより,鶏卵を用いた標準用量のワクチンと比較して,PCR で確認されるインフルエンザに対して高い防御効果が得られた.(サノフィ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03694392)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 2245 - 55. )