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December 21, 2023 Vol. 389 No. 25

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安定狭心症に対する経皮的冠動脈インターベンションのプラセボ対照試験
A Placebo-Controlled Trial of Percutaneous Coronary Intervention for Stable Angina

C.A. Rajkumar and Others

背景

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は,安定狭心症の症状の軽減を目的として施行されることが多い.抗狭心症薬を服用していない患者において,PCI がプラセボ手技よりも狭心症症状を抑えるかどうかは明らかでない.

方 法

安定狭心症患者を対象として,PCI の二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.患者は,組入れ時に抗狭心症薬をすべて中止し,無作為化前に 2 週間の症状評価を受けた.その後,患者を,PCI を行う群とプラセボ手技を行う群に,1:1 の割合で無作為に割り付け,12 週間追跡した.主要エンドポイントは狭心症症状スコアとし,1 日に発生した狭心症発作の回数,その日に処方された抗狭心症薬の単位数,臨床イベント(許容できない狭心症による盲検解除,急性冠症候群,死亡)に基づき毎日算出した.スコアの範囲は 0~79 で,数値が高いほど狭心症関連の健康状態が不良であることを示す.

結 果

301 例が無作為化され,151 例が PCI 群,150 例がプラセボ群に割り付けられた.平均(±SD)年齢は 64±9 歳で,79%が男性であった.心臓の虚血領域は,242 例(80%)には 1 ヵ所,52 例(17%)には 2 ヵ所,7 例(2%)には 3 ヵ所あった.標的血管の冠血流予備量比の中央値は 0.63(四分位範囲 0.49~0.75)であり,瞬時血流予備量比の中央値は 0.78(四分位範囲 0.55~0.87)であった.追跡期間 12 週の時点で,狭心症症状スコアの平均は PCI 群で 2.9,プラセボ群で 5.6 であった(オッズ比 2.21,95%信頼区間 1.41~3.47,P<0.001).プラセボ群の 1 例に許容できない狭心症が発生し,盲検解除にいたった.PCI 群の 4 例とプラセボ群の 6 例が急性冠症候群を発症した.

結 論

抗狭心症薬をほとんどまたはまったく服用していない,虚血の客観的所見をもつ安定狭心症患者のうち,PCI を行った患者では,プラセボ手技を行った患者よりも狭心症症状スコアが低くなり,狭心症関連の健康状態がより良好であったことが示された.(英国国立健康研究所 王立生物医学研究センターほかから研究助成を受けた.ORBITA-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号NCT03742050)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 2319 - 30. )