The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 28, 2023 Vol. 389 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心筋梗塞と貧血を有する患者に対する制限的輸血戦略と非制限的輸血戦略との比較
Restrictive or Liberal Transfusion Strategy in Myocardial Infarction and Anemia

J.L. Carson and Others

背景

ヘモグロビン値が 7 g/dL 未満または 8 g/dL 未満に低下した場合にのみ輸血を行う戦略が,広く用いられている.しかし,急性心筋梗塞患者では,これより高いヘモグロビン値で利益が得られる可能性がある.

方 法

第 3 相介入試験で,心筋梗塞を発症した,ヘモグロビン値 10 g/dL 未満の患者を,制限的輸血戦略(輸血のヘモグロビンカットオフ値 7 g/dL または 8 g/dL)と非制限的輸血戦略(ヘモグロビンカットオフ値 10 g/dL 未満)に無作為に割り付けた.主要転帰は 30 日の時点での心筋梗塞または死亡の複合とした.

結 果

主要解析の対象は 3,504 例であった.輸血された赤血球単位数の平均値(±SD)は,制限的戦略群で 0.7±1.6,非制限的戦略群で 2.5±2.3 であった.無作為化後 1~3 日目のヘモグロビンの平均値は,制限的戦略群のほうが,非制限的戦略群よりも 1.3~1.6 g/dL 低かった.主要転帰イベントは,制限的戦略群では 1,749 例中 295 例(16.9%)に発生し,非制限的戦略群では 1,755 例中 255 例(14.5%)に発生した(不完全な追跡に対し多重代入によりモデル化したリスク比 1.15,95%信頼区間 [CI] 0.99~1.34,P=0.07).死亡は制限的戦略が行われた患者の 9.9%と非制限的戦略が行われた患者の 8.3%に発生し(リスク比 1.19,95% CI 0.96~1.47),心筋梗塞はそれぞれ 8.5%と 7.2%に発生した(リスク比 1.19,95% CI 0.94~1.49).

結 論

急性心筋梗塞と貧血を有する患者では,非制限的輸血戦略により,30 日の時点での心筋梗塞再発または死亡のリスクが有意に低下することはなかった.しかし,制限的輸血戦略による害の可能性を除外することはできない.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.MINT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02981407)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 2446 - 56. )