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August 31, 2023 Vol. 389 No. 9

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インヒビターを有する血友病に対するコンシズマブの第 3 相試験
Phase 3 Trial of Concizumab in Hemophilia with Inhibitors

T. Matsushita and Others

背景

コンシズマブ(concizumab)は,すべての血友病病型で止血が得られるようデザインされた抗組織因子経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor;TFPI)モノクローナル抗体であり,皮下投与する.先行試験(explorer4)で,インヒビターを有する血友病 A または血友病 B の患者における治療概念が実証されている.

方 法

インヒビターを有する血友病 A または血友病 B の患者を対象に,コンシズマブの安全性と有効性を評価する explorer7 試験を行った.患者を,出血の予防的治療を 24 週間以上行わない群(グループ 1)またはコンシズマブの予防投与を 32 週間以上行う群(グループ 2)に 1:2 の割合で無作為に割り付けた.また非無作為的に,コンシズマブの予防投与を 24 週間以上行う群にも組み入れた(グループ 3,グループ 4).コンシズマブを投与していた 3 例(今回の explorer7 試験の 1 例を含む)に非致死的血栓塞栓イベントが発生したため,コンシズマブの投与は一時中断され,1.0 mg/kg を負荷投与後 2 日目以降 0.2 mg/kg 1 日 1 回の用法で再開された(開始後 4 週の時点で測定したコンシズマブの血漿中濃度に基づき,用量は調節可能とした).主要エンドポイントの解析では,治療を要する自然出血および外傷性出血のエピソードをグループ 1 とグループ 2 とで比較した.また全症例を対象に,安全性,患者報告アウトカム,薬物動態・薬力学を評価した.

結 果

登録された 133 例のうち,19 例がグループ 1,33 例がグループ 2 に無作為に割り付けられ,残りの 81 例はグループ 3,グループ 4 に組み入れられた.年間出血回数の推定平均値は,グループ 1 では 11.8(95%信頼区間 [CI] 7.0~19.9)であったのに対し,グループ 2 では 1.7(95% CI 1.0~2.9)であった(率比 0.14 [95% CI 0.07~0.29],P<0.001).コンシズマブの投与を受けていた患者(グループ 2,3,4)における年間出血回数の中央値は 0 であった.コンシズマブ療法の再開後,血栓塞栓イベントは報告されなかった.コンシズマブの血漿中濃度は経時的に安定していた.

結 論

インヒビターを有する血友病 A または血友病 B の患者にコンシズマブの予防投与を行った場合,予防的治療を行わなかった場合に比べて年間出血回数が少なかった.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.explorer7 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04083781)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 783 - 94. )