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October 10, 2024 Vol. 391 No. 14

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大脳型副腎白質ジストロフィーに対するレンチウイルス遺伝子治療
Lentiviral Gene Therapy for Cerebral Adrenoleukodystrophy

F. Eichler and Others

背景

大脳型副腎白質ジストロフィーは,白質疾患,神経機能の喪失,早期死亡を特徴とする X 連鎖副腎白質ジストロフィーの重症型である.エリバルドジーン オートテムセル(elivaldogene autotemcel [eli-cel])遺伝子治療は,ABCD1 の相補的 DNA を含む Lenti-D レンチウイルスベクターで形質導入した自家 CD34 陽性細胞による治療法で,大脳型副腎白質ジストロフィー患者を対象に試験が行われている.

方 法

第 2~3 相試験で,早期の大脳型副腎白質ジストロフィーを有し,MRI で活動性炎症の存在を示す所見が認められた男児を対象に,eli-cel 療法の有効性と安全性を評価した.主要有効性評価項目は,24 ヵ月の時点での,6 項目から成る主要機能障害を伴わない生存とした.副次的評価項目は,24 ヵ月の時点での全生存,神経機能スコアの合計のベースラインから 24 ヵ月までの変化量などとした.

結 果

32 例が eli-cel の投与を受けた.29 例(91%)が 24 ヵ月間の試験を完了し,長期追跡試験で観察が行われている.24 ヵ月の時点で,これら 29 例に主要機能障害は認められず,全生存率は 94%であった.直近の評価(追跡期間の中央値 6 年)では,32 例中 30 例(94%)で,神経機能スコアがベースラインスコアと比べて安定していた.26 例(81%)に主要機能障害は認められなかった.4 例に,eli-cel に直接関連する有害事象が発現した.92 ヵ月の時点で,1 例が,芽球増加を伴う骨髄異形成症候群(MDS)を発症した.この患者は同種造血幹細胞移植を受け,直近の追跡調査時に MDS は認められなかった.

結 論

早期の大脳型副腎白質ジストロフィーを有し,MRI で異常所見が認められた患者の大部分では,レンチウイルス遺伝子治療後中央値 6 年の追跡調査の時点で,主要機能障害は認められなかった.しかし,挿入変異による発癌は,ウイルスベクターの組込みに関連するリスクとして継続している.(ブルーバード バイオ社から研究助成を受けた.ALD-102 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01896102,LTF-304 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02698579)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1302 - 12. )