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October 17, 2024 Vol. 391 No. 15

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モジュール間通信を行うリードレスペーシング・除細動システム
A Modular Communicative Leadless Pacing–Defibrillator System

R.E. Knops and Others

背景

皮下植込み型除細動器(ICD)は,経静脈 ICD と比較してリード関連合併症が少ないが,徐脈に対するペーシングや抗頻拍ペーシングを行うことができない.リードレスペースメーカーが皮下 ICD と無線通信し,抗頻拍ペーシングと徐脈に対するペーシングを行うモジュールシステムが,安全かどうかは明らかにされていない.

方 法

国際共同単群試験を行い,心室性不整脈による突然死のリスクを有する患者を組み入れ,ペースメーカー・除細動器モジュールシステムの植込み後 6 ヵ月間追跡した.安全性評価項目は,リードレスペースメーカーに関連する重大な合併症が発生しないこととし,達成目標を 86%として評価した.主要性能評価項目は,ペースメーカー・ICD 間の通信の成功(達成目標 88%)と,ペーシング閾値がパルス幅 0.4 msec で 2.0 V 以下であること(達成目標 80%)の 2 つとした.

結 果

293 例が組み入れられた.このうち 162 例を 6 ヵ月時評価項目コホートとし,151 例が 6 ヵ月の追跡期間を完了した.患者の平均年齢は 60 歳であり,16.7%が女性で,平均(±SD)左室駆出率は 33.1±12.6%であった.リードレスペースメーカーに関連する重大な合併症が発生しなかった患者の割合は 97.5%で,事前に規定した達成目標を超えた.デバイス間の無線通信は通信テストの 98.8%で成功し,事前に規定した達成目標を超えた.ペーシング閾値が 2.0 V 以下であった患者は 151 例中 147 例(97.4%)で,事前に規定した達成目標を超えた.抗頻拍ペーシングが行われた不整脈エピソードのうち,不整脈停止に成功した割合は 61.3%であり,通信障害で抗頻拍ペーシングが行われなかったエピソードはなかった.162 例中 8 例(4.9%)が死亡したが,不整脈または植込み手技に関連すると判断された死亡はなかった.

結 論

皮下 ICD と無線通信を行うリードレスペースメーカーは,植込み後 6 ヵ月の時点で,リードレスペースメーカーに関連する重大な合併症が発生しないこと,リードレスペースメーカー・皮下 ICD 間の通信,ペーシング閾値がパルス幅 0.4 msec で 2.0 V 以下の患者の割合に関して,それぞれの達成目標を超えた.(ボストン・サイエンティフィック社から研究助成を受けた.MODULAR ATP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04798768)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 1402 - 12. )