October 31, 2024 Vol. 391 No. 17
多発性骨髄腫に対するイサツキシマブ,ボルテゾミブ,レナリドミド,デキサメタゾンの併用
Isatuximab, Bortezomib, Lenalidomide, and Dexamethasone for Multiple Myeloma
T. Facon and Others
ボルテゾミブ,レナリドミド,デキサメタゾンの併用(VRd)は,新たに診断された多発性骨髄腫患者に対する一次治療の選択肢として選好される.VRd レジメンに抗 CD38 モノクローナル抗体イサツキシマブを追加することで,移植非適応の多発性骨髄腫患者の病勢進行または死亡のリスクが低下するかは不明である.
国際共同非盲検第 3 相試験で,多発性骨髄腫と新たに診断された移植非適応の 18~80 歳の患者を,イサツキシマブと VRd を併用する群と,VRd 療法のみを行う群に 3:2 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性評価項目は無増悪生存とした.完全奏効以上,完全奏効を達成した患者における微小残存病変(MRD)陰性状態などを,重要な副次的評価項目とした.
446 例が無作為化された.追跡期間中央値 59.7 ヵ月の時点で,60 ヵ月無増悪生存率の推定値は,イサツキシマブ+VRd 群では 63.2%であったのに対し,VRd 群では 45.2%であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.60,98.5%信頼区間 0.41~0.88,P<0.001).完全奏効以上を達成した患者の割合は,イサツキシマブ+VRd 群のほうが VRd 群よりも有意に高く(74.7% 対 64.1%,P=0.01),完全奏効と MRD 陰性状態が得られた患者の割合も同様であった(55.5% 対 40.9%,P=0.003).イサツキシマブ+VRd レジメンに,新たな安全性シグナルは認められなかった.投与中の重篤な有害事象の発現率と,投与中止にいたった有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.
多発性骨髄腫と新たに診断された移植非適応の 18~80 歳の患者に対する一次治療として,イサツキシマブ+VRd は VRd よりも有効であった.(サノフィ社,がんセンター支援助成金から研究助成を受けた.IMROZ 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03319667)