November 14, 2024 Vol. 391 No. 19
二次性僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル修復術と僧帽弁手術との比較
Transcatheter Repair versus Mitral-Valve Surgery for Secondary Mitral Regurgitation
S. Baldus and Others
心不全と二次性僧帽弁閉鎖不全症を有する患者に現在推奨されている治療法には,経カテーテル edge-to-edge 修復術と僧帽弁手術がある.この患者集団で,これらの治療法を比較した無作為化試験のデータはない.
ドイツで行われた非劣性試験で,心不全と二次性僧帽弁閉鎖不全症を有し,ガイドラインに基づく内科的治療にもかかわらず症状が持続している患者を,経カテーテル edge-to-edge 修復術を行う群(介入群)と,僧帽弁の修復術または置換術を行う群(手術群)に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性評価項目は,手技後 1 年以内の死亡,心不全による入院,僧帽弁への再介入,補助装置の植込み,脳卒中の複合とした.主要安全性評価項目は,手技後 30 日以内の主要有害事象の複合とした.
210 例が無作為化された.患者の平均(±SD)年齢は 70.5±7.9 歳,39.9%が女性で,平均左室駆出率は 43.0±11.7%であった.1 年以内に,主要有効性評価項目のイベントの 1 つ以上が,データを入手しえた介入群の 96 例中 16 例(16.7%),手術群の 89 例中 20 例(22.5%)に発生した(推定平均差 -6 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -17~6,非劣性の P<0.001).主要安全性評価項目のイベントは,データを入手しえた介入群の 101 例中 15 例(14.9%),手術群の 93 例中 51 例(54.8%)に発現した(推定平均差 -40 パーセントポイント,95% CI -51~-27,P<0.001).
心不全と二次性僧帽弁閉鎖不全症を有する患者において,経カテーテル edge-to-edge 修復術は,1 年の時点での死亡,心不全による再入院,脳卒中,再介入,左室への補助装置の植込みの複合に関して,僧帽弁手術に対して非劣性であった.(アボット バスキュラー社から研究助成を受けた.MATTERHORN 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02371512)