November 28, 2024 Vol. 391 No. 21
ベトナムにおける PCV10 接種回数削減スケジュールの肺炎球菌保菌に対する効果
Effect of a Reduced PCV10 Dose Schedule on Pneumococcal Carriage in Vietnam
L.-M. Yoshida and Others
ワクチン接種キャンペーンにより肺炎球菌感染症と肺炎球菌保菌が制御されていれば,回数を減じた肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)接種スケジュールが,費用を抑えて肺炎球菌制御を維持するのに十分である可能性がある.
10 価の PCV(PCV10)の初回接種 1 回と追加接種 1 回(1p+1)が,ワクチンに含まれる血清型の肺炎球菌保菌の制御維持について,従来の 3 回接種スケジュールに対して非劣性であるかを検討した.PCV 未導入のベトナム,ニャチャン市で,キャッチアップキャンペーンを実施し,3 歳未満の小児に PCV10 を接種した.その後クラスター無作為化試験を行い,小児を,PCV10 を生後 2,3,4 ヵ月時に接種する群(3p+0 群),生後 2,4,12 ヵ月時接種群(2p+1 群),生後 2,12 ヵ月時接種群(1p+1 群),生後 12 ヵ月時接種群(0p+1 群)に割り付けた.2016~20 年の期間に,乳児(生後 4~11 ヵ月)と歩行開始期幼児(生後 14~24 ヵ月)に対し,年 1 回の保菌調査を行った.主要評価項目は,ワクチン血清型肺炎球菌保菌に対する防御とし,ワクチン導入後 3.5 年の時点で,非劣性解析により 1p+1 群を,2p+1 群および 3p+0 群と比較評価した(非劣性マージン 5 パーセントポイント).0p+1 のスケジュールの非劣性も評価した.
PCV10 導入前の 2016 年には,乳児 1,363 人中 160 人(11.7%)がワクチン血清型肺炎球菌を保菌していた.2020 年には,1p+1 群の 333 人中 6 人(1.8%),2p+1 群の 340 人中 5 人(1.5%),3p+0 群の 313 人中 4 人(1.3%)がワクチン血清型肺炎球菌を保菌しており,1p+1 の 2p+1 に対する非劣性(差 0.3 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -1.6~2.2)と,3p+0 に対する非劣性(差 0.5 パーセントポイント,95% CI -1.4~2.4)が示された.同様に,幼児においても,ワクチン血清型肺炎球菌保菌に対する防御について,1p+1 は 2p+1,3p+0 に対して非劣性であった.2016 年には,乳児 1,363 人中 99 人(7.3%)が血清型 6A を保菌していた.2020 年には,1p+1 群の 333 人中 12 人(3.6%),2p+1 群の 340 人中 10 人(2.9%),3p+0 群の 313 人中 3 人(1.0%)が 6A を保菌していた.0p+1 スケジュールも,乳児,幼児において 3 回接種スケジュールに対して非劣性であったが,血清型 6A に対する交差防御は 3 回接種スケジュールよりも低かった.PCV10 に関連した重篤な副反応は観察されなかった.
PCV10 接種を初回接種 1 回と追加接種 1 回で行う回数削減スケジュールは,乳幼児におけるワクチン血清型肺炎球菌保菌に対する防御において,3 回接種スケジュールに対して非劣性であった.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02961231)