December 5, 2024 Vol. 391 No. 22
慢性 B 型肝炎に対するザルネシランと免疫調節薬の併用とザルネシラン単剤との比較
Xalnesiran with or without an Immunomodulator in Chronic Hepatitis B
J. Hou and Others
B 型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムの保存領域を標的とし,複数の HBV 転写産物をサイレンシングする低分子干渉 RNA ザルネシラン(xalnesiran)は,免疫調節薬を併用するか否かにかかわらず,慢性 HBV 感染患者に有効である可能性がある.
第 2 相多施設共同無作為化比較適応的非盲検プラットフォーム試験を行い,慢性 HBV 感染を有し,ヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログ(NA)療法でウイルス学的抑制が得られていた参加者を対象に,ザルネシラン 100 mg(グループ 1),ザルネシラン 200 mg(グループ 2),ザルネシラン 200 mg+ルゾトリモド(ruzotolimod)150 mg(グループ 3),ザルネシラン 200 mg+ペグ化インターフェロンα-2a 180 μg(グループ 4),NA 療法単独(グループ 5)のいずれかによる,48 週間の治療を評価した.主要有効性評価項目は,治療終了後 24 週の時点での B 型肝炎表面抗原(HBsAg)の消失(HBsAg 濃度 0.05 IU/mL 未満)とした.安全性も評価した.
解析対象の 159 例(グループ 1:30 例,グループ 2:30 例,グループ 3:34 例,グループ 4:30 例,グループ 5:35 例)における,主要評価項目イベントの発生率は,グループ 1 で 7%(95%信頼区間 [CI] 1~22),グループ 2 で 3%(95% CI 0~17),グループ 3 で 12%(95% CI 3~28),グループ 4 で 23%(95% CI 10~42),グループ 5 で 0%(95% CI 0~10)であった.治療終了後 24 週の時点での HBsAg のセロコンバージョン率は,グループ 1 で 3%,グループ 2 で 0%,グループ 3 で 3%,グループ 4 で 20%,グループ 5 で 0%であった.セロコンバージョンの有無にかかわらず HBsAg が消失したのは,スクリーニング時の HBsAg 濃度が 1,000 IU/mL 未満の参加者のみであった.グレード 3 または 4 の有害事象の発現率は,グループ 1 で 17%,グループ 2 で 10%,グループ 3 で 18%,グループ 4 で 50%,グループ 5 で 6%であり,もっとも頻度が高かった事象はアラニンアミノトランスフェラーゼ上昇であった.
慢性 HBV 感染を有し,NA 療法でウイルス学的抑制が得られていた患者において,ザルネシランと免疫調節薬の併用により,治療終了後 24 週の時点で,HBsAg の消失が高い割合で得られた.グレード 3 または 4 の有害事象はまれではなかった.(エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社から研究助成を受けた.Piranga 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04225715)