December 12, 2024 Vol. 391 No. 23
多菌型ハンセン病に対するベダキリン単独療法
Bedaquiline Monotherapy for Multibacillary Leprosy
J. Barreto and Others
ハンセン病に対する標準的な多剤併用療法は,重度の副作用を伴う可能性があり,患者に対するスティグマや差別を大きくしている.さらに,薬剤耐性ハンセン病の脅威から,多剤併用療法のほかの組合せや,より短期の,より安全なレジメンが必要である.
ブラジルで非盲検概念実証(proof-of-concept)試験を行い,未治療の多菌型ハンセン病患者を,8 週間のベダキリン単独療法に割り付けた.8 週間のコース完了後は,ハンセン病に対する標準的な多剤併用療法(世界保健機関が定義したもの)を開始し,112 週間追跡した.主要評価項目は,8 週間のベダキリン療法後,マウスの足蹠にてらい菌(Mycobacterium leprae)の増殖が認められるオッズの,ベースラインからの変化とした.副次的評価項目は安全性とした.探索的評価項目は,ハンセン病の臨床徴候・症状の変化,らい菌の分子レベルでの生存率の変化(定量的逆転写酵素 PCR 法で測定)などとした.
修正 intention-to-treat 解析の対象は 9 例であった.らい菌増殖陽性のオッズは,ベースライン時に 100%であったのが,ベダキリン単独療法 4 週間後には「増殖せず」にまで減少した.治療 7 週間後,全例で皮膚病変の外観がベースラインと比較して改善した.治療期間中,7 例に,1 件以上の有害事象(すべてグレード 1 または 2)が発現した.
多菌型ハンセン病患者では,ベダキリン単独療法により,治療 4 週までにらい菌が消失し,7 週までに皮膚病変の外観が改善した.(ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03384641)