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August 8, 2024 Vol. 391 No. 6

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デルタ株流行前,デルタ株流行期,オミクロン株流行期別の SARS-CoV-2 感染の急性期後後遺症
Postacute Sequelae of SARS-CoV-2 Infection in the Pre-Delta, Delta, and Omicron Eras

Y. Xie, T. Choi, and Z. Al-Aly

背景

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)感染の急性期後後遺症(PASC)では,複数の臓器系が侵される可能性がある.しかし,そのリスクと負荷には,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)パンデミック中の経時変化,たとえば SARS-CoV-2 の進化が影響を及ぼした可能性がある.パンデミックの経過中に PASC のリスクと負荷が変化したかは明らかでない.

方 法

米国退役軍人省の健康記録を用いて,2020 年 3 月 1 日~2022 年 1 月 31 日に SARS-CoV-2 に感染した退役軍人 441,583 例と,同期間に感染しなかった対照 4,748,504 例から成る研究集団を構築した.Covid-19 パンデミックのデルタ株流行前(デルタ前),デルタ株流行期(デルタ期),オミクロン株流行期(オミクロン期)別に,SARS-CoV-2 感染後 1 年の時点での PASC の累積発生率を推定した.

結 果

ワクチン非接種者では,SARS-CoV-2 感染後 1 年間の PASC の累積発生率は,デルタ前 10.42 件/100 人(95%信頼区間 [CI] 10.22~10.64),デルタ期 9.51 件/100 人(95% CI 9.26~9.75),オミクロン期 7.76 件/100 人(95% CI 7.57~7.98)であった(オミクロン期とデルタ前との差:-2.66 件/100 人 [95% CI -2.93~-2.36],オミクロン期とデルタ期との差:-1.75 件/100 人 [95% CI -2.08~-1.42]).ワクチン接種者では,感染後 1 年の時点での PASC の累積発生率は,デルタ期 5.34 件/100 人(95% CI 5.10~5.58),オミクロン期 3.50 件/100 人(95% CI 3.31~3.71)であった(オミクロン期とデルタ期との差:-1.83 件/100 人 [95% CI -2.14~-1.52]).感染後 1 年の時点での PASC の累積発生率は,ワクチン接種者のほうが非接種者よりも低かった(デルタ期における差:-4.18 件/100 人 [95% CI -4.47~-3.88],オミクロン期における差:-4.26 件/100 人 [95% CI -4.49~-4.05]).分解分析では,オミクロン期における感染後 1 年の時点での 100 人あたりの PASC は,デルタ前とデルタ期を合わせた期間よりも 5.23 件(95% CI 4.97~5.47)少ないことが示された.この減少の 28.11%(95% CI 25.57~30.50)は時期に関連する影響(ウイルスの変化やその他の経時的影響)に起因すると考えられ,71.89%(95% CI 69.50~74.43)はワクチンに起因すると考えられた.

結 論

SARS-CoV-2 感染後 1 年間の PASC の累積発生率は,Covid-19 パンデミックの経過とともに減少したが,PASC のリスクは,ワクチンを接種しオミクロン株流行期に SARS-CoV-2 に感染した人においても,依然として相当高かった.(米国退役軍人省から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 515 - 25. )