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August 15, 2024 Vol. 391 No. 7

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意識障害における認知と運動の解離
Cognitive Motor Dissociation in Disorders of Consciousness

Y.G. Bodien and Others

背景

脳損傷を負い指示に反応しない患者は,機能的 MRI(fMRI)と脳波で検出される認知課題を遂行する可能性がある.この現象は,認知と運動の解離として知られているが,意識障害者の大規模コホートでの体系的な研究はなされていない.

方 法

複数国の 6 施設で行われた前向きコホート研究で,意識障害のある成人 353 例の便宜的標本から,臨床データ,行動データ,課題 fMRI と脳波のデータを収集した.言葉による指示に対して,観察可能な反応がなかった参加者(すなわち,行動に基づく診断が昏睡,植物状態,最小意識状態マイナスのいずれかの参加者)と,観察可能な反応があった参加者において,課題 fMRI または脳波上の,指示に対する反応を評価した.指示に対する観察可能な反応の有無は,昏睡回復尺度改訂版(CRS-R)を用いて評価した.

結 果

参加者の 65%で fMRI のみまたは脳波のみのデータが得られ,35%で fMRI と脳波の両方のデータが得られた.参加者の年齢の中央値は 37.9 歳で,脳損傷から CRS-R による評価までの期間の中央値は 7.9 ヵ月(参加者の 25%が受傷後 28 日以内に CRS-R による評価を受けた)であり,50%は脳外傷が病因因子であった.指示に対して観察可能な反応がなかった 241 例のうち,60 例(25%)で認知と運動の解離が検出され,11 例は fMRI のみ,13 例は脳波のみ,36 例は両方で評価されていた.認知と運動の解離は,年齢が低いこと,受傷後の経過期間が長いこと,脳外傷が病因因子であることと関連していた.これに対して,言葉による指示に対して観察可能な反応があった 112 例では,43 例(38%)に課題 fMRI または脳波上の反応が認められた.

結 論

指示に対して観察可能な反応がなかった参加者では,約 4 例に 1 例が fMRI または脳波上で認知課題を遂行したのに対し,指示に対して観察可能な反応があった参加者では 3 例に 1 例であった.(ジェームズ・S・マクドネル財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 598 - 608. )