March 27, 2025 Vol. 392 No. 12
鼻茸を伴う重症慢性副鼻腔炎の成人に対するテゼペルマブ
Tezepelumab in Adults with Severe Chronic Rhinosinusitis with Nasal Polyps
B.J. Lipworth and Others
テゼペルマブは,コントロールされていない重症喘息と,鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の既往がある患者の副鼻腔症状に有効であることが示されているが,鼻茸を伴う,コントロールされていない重症慢性副鼻腔炎の成人における有効性と安全性は明らかにされていない.
鼻茸を伴う重症慢性副鼻腔炎と医師に診断された,症状を有する成人を,標準治療に加えて,テゼペルマブ(210 mg)の 4 週ごとの皮下投与を 52 週間行う群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,52 週の時点での総鼻茸スコア([各鼻孔につき] 0~4 で,値が高いほど重症度が高いことを示す),および鼻閉スコアの平均(0~3 で,値が高いほど重症度が高いことを示す)のベースラインからの変化とした.集団全体で評価した副次的評価項目のうち,嗅覚喪失スコア,副鼻腔転帰調査票(SNOT-22)の総スコア(0~110 で,スコアが高いほど重症度が高いことを示す),Lund–Mackay スコア(0~24 で,値が高いほど重症度が高いことを示す),総症状スコア(0~24 で,値が高いほど重症度が高いことを示す),鼻茸の手術または全身グルココルチコイドの使用(またはその両方)の最初の決定(生存時間 [time-to-event] 解析を用いて,個別および複合で評価)を重要な項目とした.
203 例がテゼペルマブ群,205 例がプラセボ群に割り付けられた.52 週の時点で,テゼペルマブの投与を受けた患者では,総鼻茸スコアが有意に改善し(プラセボとの差の平均 -2.07,95%信頼区間 [CI] -2.39~-1.74),鼻閉スコアの平均も有意に改善した(-1.03,95% CI -1.20~-0.86)(両スコアの P<0.001).テゼペルマブにより,嗅覚喪失スコアも(プラセボとの差の平均 -1.00,95% CI -1.18~-0.83),SNOT-22 の総スコアも(-27.26,95% CI -32.32~-22.21),Lund–Mackay スコアも(-5.72,95% CI -6.39~-5.06),総症状スコアも(-6.89,95% CI -8.02~-5.76),有意に改善した(全スコアの P<0.001).鼻茸に対する手術適応は,テゼペルマブ群(0.5%)のほうがプラセボ群(22.1%)よりも有意に少なかった(ハザード比 0.02,95% CI 0.00~0.09).全身グルココルチコイドの使用も,テゼペルマブ群(5.2%)のほうがプラセボ群(18.3%)よりも有意に少なかった(ハザード比 0.12,95% CI 0.04~0.27)(両方の生存時間解析のP<0.001).
鼻茸を伴うコントロールされていない重症慢性副鼻腔炎の成人では,テゼペルマブ療法により,鼻茸の大きさ,鼻閉および副鼻腔症状の重症度,鼻茸の手術および全身グルココルチコイドの使用が,プラセボよりも有意に大きく減少した.(アストラゼネカ社,アムジェン社から研究助成を受けた.WAYPOINT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04851964)