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April 10, 2025 Vol. 392 No. 14

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中血管閉塞または遠位血管閉塞による脳梗塞に対する血管内治療
Endovascular Treatment for Stroke Due to Occlusion of Medium or Distal Vessels

M. Psychogios and Others

背景

脳主幹動脈閉塞を伴う脳梗塞に対する血管内治療(EVT)は,安全かつ有効であることが知られている.中血管閉塞,遠位血管閉塞に対する EVT の効果は明らかにされていない.

方 法

中血管または遠位血管に単独閉塞(中大脳動脈 [MCA] の非優位/共優位半球 M2 部,MCA の M3/M4 部,前大脳動脈の A1/A2/A3 部,後大脳動脈の P1/P2/P3 部の閉塞)をきたした参加者を,最終健常確認時刻から 24 時間以内に EVT と最善の薬物治療を行う群と,最善の薬物治療のみを行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は 90 日の時点での障害の程度とし,修正ランキンスケールスコアで評価した.

結 果

543 例(女性 44%,年齢中央値 77 歳)が解析対象となり,内訳は EVT+最善の薬物治療群 271 例,最善の薬物治療単独群 272 例であった.入院時の米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコア(0~42 で,値が高いほど症状が重度であることを示す)の中央値は,6(四分位範囲 5~9)であった.経静脈的血栓溶解療法は参加者の 65.4%に行われた. 主な閉塞部位は,M2 部(参加者の 44.0%),M3 部(26.9%),P2 部(13.4%),P1 部(5.5%)であった.EVT+最善の薬物治療と最善の薬物治療単独との比較において,90 日の時点で,修正ランキンスケールスコアの分布に有意差は認められなかった(スコア改善の共通オッズ比 0.90,95%信頼区間 0.67~1.22,P=0.50).全死因死亡率は 2 群で同程度であり(EVT+最善の薬物治療群 15.5%,最善の薬物治療単独群 14.0%),症候性頭蓋内出血の発生率も同程度であった(それぞれ 5.9%と 2.6%).

結 論

中血管閉塞または遠位血管閉塞を伴う脳梗塞患者に対して,EVT を行った場合,最善の薬物治療のみを行った場合と比較して障害の程度は低下せず,死亡率も低下しなかった.(スイス国立科学財団ほかから研究助成を受けた.DISTAL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05029414)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 1374 - 84. )