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April 10, 2025 Vol. 392 No. 14

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中血管閉塞による脳梗塞の血管内治療
Endovascular Treatment of Stroke Due to Medium-Vessel Occlusion

M. Goyal and Others

背景

脳主幹動脈閉塞による脳梗塞に対する血管内血栓除去術(EVT)には大きな効果量があるが,中血管閉塞による脳梗塞に対しても当てはまるかは明らかでない.

方 法

転帰を盲検下で評価する多施設共同前向き無作為化非盲検試験を行い,中血管閉塞による急性期脳梗塞を発症し,最終健常確認時刻から 12 時間以内に受診し,ベースライン時の非侵襲的脳画像検査の結果が標準に合致していた患者を,EVT と通常治療を行う群と,通常治療のみを行う群に割り付けた.主要転帰は 90 日の時点での修正ランキンスケールスコア(範囲 0 [症状なし]~6 [死亡])とし,スコアが 0 または 1 の患者の割合として報告する.

結 果

2022 年 4 月~2024 年 6 月に,5 ヵ国で 530 例が登録され,255 例が EVT 群,275 例が通常治療群に割り付けられた.患者の大部分(84.7%)で,中大脳動脈分枝に主要な閉塞が認められた.90 日の時点で修正ランキンスケールスコアが 0 または 1 であった患者は,EVT 群では 255 例中 106 例(41.6%),通常治療群では 274 例中 118 例(43.1%)であった(補正率比 0.95,95%信頼区間 [CI] 0.79~1.15,P=0.61).90 日の時点での死亡率は,EVT 群 13.3%,通常治療群 8.4%であった(補正ハザード比 1.82,95% CI 1.06~3.12).症候性頭蓋内出血は,EVT 群では 257 例中 14 例(5.4%),通常治療群では 272 例中 6 例(2.2%)に発生した.

結 論

中血管閉塞による急性期脳梗塞に対して,発症後 12 時間以内に血管内治療を行っても,90 日の時点での転帰は,通常治療よりも良好ではなかった.(カナダ保健研究機構,メドトロニック社から研究助成を受けた.ESCAPE-MeVO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05151172)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 1385 - 95. )