肺結節に対するナビゲーション気管支鏡検査と経胸壁針生検との比較
Navigational Bronchoscopy or Transthoracic Needle Biopsy for Lung Nodules
R.J. Lentz and Others
毎年非常に多くの肺結節が偶発的に,あるいは肺癌スクリーニングにより発見されており,その多くは,癌と良性病変とを鑑別するために生検を必要とする.末梢肺結節の生検を受ける患者には,ナビゲーション気管支鏡検査と CT ガイド下経胸壁針生検が用いられることが多いが,この 2 つのアプローチの相対的な診断精度は明らかにされていない.
米国の 7 施設で行われた多施設共同無作為化並行群間非劣性試験で,径 10~30 mm,中リスクまたは高リスクの末梢肺結節を有する患者を,ナビゲーション気管支鏡検査を行う群と,経胸壁針生検を行う群に割り付けた.主要転帰は診断精度とし,生検で特定の診断(癌または特定の良性病変)が得られた患者のうち,12 ヵ月の臨床経過観察期間中に診断が正確であることが確認された割合とした(非劣性マージン 10 パーセントポイント).副次的転帰は,気胸の発生をはじめとする,処置合併症などとした.
主要転帰の解析対象 234 例(うち 5 例は追跡不能)のうち,生検で特定の診断が得られ,12 ヵ月の期間中に診断が正確であることが確認されたのは,ナビゲーション気管支鏡検査群では 119 例中 94 例(79.0%),経胸壁針生検群では 110 例中 81 例(73.6%)であった(絶対差 5.4 パーセントポイント,95%信頼区間 -6.5~17.2,非劣性の P=0.003,優越性の P=0.17).気胸は,ナビゲーション気管支鏡検査群では 121 例中 4 例(3.3%),経胸壁針生検群では 113 例中 32 例(28.3%)に発生し,それぞれ 1 例(0.8%)と 13 例(11.5%)が,胸腔ドレーン挿入または入院,あるいはその両方にいたった.
径 10~30 mm の末梢肺結節を有する患者において,ナビゲーション気管支鏡検査の診断精度は,経胸壁針生検に対して非劣性であった.(メドトロニック社ほかから研究助成を受けた.VERITAS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04250194)