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June 5, 2025 Vol. 392 No. 21

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術前補助化学療法奏効後の領域リンパ節照射の省略
Omitting Regional Nodal Irradiation after Response to Neoadjuvant Chemotherapy

E.P. Mamounas and Others

背景

乳癌治療における領域リンパ節照射の利益は,病理学的に腋窩リンパ節転移陽性の患者では確立されているが,術前補助化学療法後に病理学的にリンパ節転移なし(ypN0)となった患者にも利益があるかは明らかにされていない.

方 法

生検で診断されたリンパ節転移陽性乳癌を有し,術前補助化学療法後に ypN0 を達成した患者は,領域リンパ節照射により転帰が改善するかを評価した.臨床病期が T1(腫瘍径 2 cm 以下)~T3(5 cm 超),N1,M0(腋窩リンパ節転移が 1~3 個存在し,遠隔転移はないことを示す)の乳癌で,術前補助化学療法後に ypN0 を達成した患者を,領域リンパ節照射を行う群と行わない群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,浸潤性乳癌の再発または乳癌死のない期間(浸潤性乳癌無再発期間)とした.副次的評価項目は,局所・領域リンパ節無再発期間,無遠隔再発期間,無病生存期間,全生存期間などとした.安全性も評価した.

結 果

1,641 例が試験に組み入れられた.主要イベント解析の対象は 1,556 例で,内訳は照射群 772 例,非照射群 784 例であった.追跡期間中央値 59.5 ヵ月の時点で,主要評価項目イベントは 109 件発生していた(照射群 50 件,非照射群 59 件).領域リンパ節照射による,浸潤性乳癌無再発期間の有意な延長はみられなかった(ハザード比 0.88,95%信頼区間 0.60~1.28,P=0.51).主要評価項目イベントなしの生存率の点推定値は,照射群で 92.7%,非照射群で 91.8%であった.領域リンパ節照射による,局所・領域リンパ節無再発期間,無遠隔再発期間,無病生存期間,全生存期間の延長はみられなかった.試験実施計画書に規定した治療に関連した死亡は報告されず,予期せぬ有害事象はみられなかった.グレード 4 の有害事象は照射群の 0.5%と非照射群の 0.1%に発現した.

結 論

術前補助化学療法後に腋窩リンパ節転移陰性となった患者において,術後補助療法として領域リンパ節照射を追加しても,浸潤性乳癌の再発または乳癌死のリスクは低下しなかった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.NSABP B-51–Radiation Therapy Oncology Group 1304 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01872975)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 2113 - 24. )