January 23, 2025 Vol. 392 No. 4
院外心停止の薬剤投与における骨髄路確保と静脈路確保との比較
Intraosseous or Intravenous Vascular Access for Out-of-Hospital Cardiac Arrest
M.F. Vallentin and Others
院外心停止は,世界における死亡の主な原因の 1 つである.心肺蘇生中に,ガイドラインで推奨されている薬剤を投与するためには,血管確保がきわめて重要である.骨髄路と静脈路がルーチンに用いられているが,この 2 つの相対的有効性は明らかにされていない.
非外傷性院外心停止を起こした成人を対象に,まず骨髄路確保を試みる場合と,まず静脈路確保を試みる場合とで,有効性を比較する無作為化臨床試験を行った.主要転帰は,自己心拍の再開・持続とした.重要な副次的転帰は,30 日の時点での生存と,30 日の時点での神経学的転帰良好な生存とし,神経学的転帰良好の定義は,修正ランキンスケール(0~6 で,値が高いほど障害が重度であることを示す)のスコアが 0~3 とした.
無作為化された 1,506 例のうち,主要解析の対象は 1,479 例であった(骨髄路群 731 例,静脈路群 748 例).2 回以内の試みで血管確保に成功したのは,骨髄路群に割り付けられた患者の 669 例(92%)と,静脈路群に割り付けられた患者の 595 例(80%)であった.自己心拍の再開・持続は,骨髄路群の 221 例(30%)と静脈路群の 214 例(29%)で得られた(リスク比 1.06,95%信頼区間 [CI] 0.90~1.24,P=0.49).30 日の時点で,骨髄路群の 85 例(12%)と静脈路群の 75 例(10%)が生存していた(リスク比 1.16,95% CI 0.87~1.56).30 日の時点での神経学的転帰良好な生存は,それぞれ 67 例(9%)と 59 例(8%)で得られた(リスク比 1.16,95% CI 0.83~1.62).事前に規定した有害事象の頻度は低かった.
院外心停止を起こした成人において,まず骨髄路確保を試みた場合とまず静脈路確保を試みた場合とで,自己心拍の再開・持続が得られる割合に有意差は認められなかった.(ノボ ノルディスク財団ほかから研究助成を受けた.IVIO 試験:EU Clinical Trials Register 番号 2022-500744-38-00,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05205031)