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January 30, 2025 Vol. 392 No. 5

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血友病 A に対する CD34 陽性造血細胞を用いたレンチウイルス遺伝子治療
Lentiviral Gene Therapy with CD34+ Hematopoietic Cells for Hemophilia A

A. Srivastava and Others

背景

重症血友病 A は,第 VIII 因子製剤の定期補充療法や,止血または出血予防を目的とした止血製剤で管理される.重症血友病 A に対する,造血幹細胞(HSC)を用いて第 VIII 因子を発現させる遺伝子治療に関するデータは少ない.

方 法

22~41 歳の,第 VIII 因子インヒビターを保有しない重症血友病 A 患者 5 例を対象に,単一施設試験を行った.CD68-ET3-LV(骨髄指向性 CD68 プロモーターを搭載した新規 F8 導入遺伝子 [ET3] をコードするレンチウイルスベクター)を用いて,導入エンハンサーなし(グループ 1)または導入エンハンサーあり(グループ 2)で自家 HSC を形質導入した.形質導入した HSC を,骨髄破壊的前処置後にレシピエントに移植した.治療の安全性(生着,レジメン関連毒性)と有効性(第 VIII 因子活性,年間出血率)を評価した.

結 果

5 例は,CD68-ET3-LV 形質導入自家 CD34 陽性 HSC の投与を,5.0×106~6.1×106/kg 体重の用量で受けた.最終製剤のベクターコピー数は,グループ 1 の 2 例では,1 細胞あたり 1.0 コピー,0.6 コピーであり,グループ 2 の 3 例では,1 細胞あたり 1.5 コピー,0.6 コピー,2.2 コピーであった.重度の好中球減少症の持続期間は 7~11 日であり,重度の血小板減少症の持続期間は 1~7 日であった.28 日目から最終追跡受診までの凝固一段法で測定した第 VIII 因子活性の中央値は,グループ 1 の 2 例では,それぞれ 5.2 IU/dL(範囲 3.0~8.7),1.7 IU/dL(範囲 1.0~4.0)であり(末梢血のベクターコピー数は 1 細胞あたり 0.2 コピー,0.1 コピー),グループ2 の 3 例では,それぞれ 37.1 IU/dL(範囲 18.3~73.6),19.3 IU/dL(範囲 6.6~34.5),39.9 IU/dL(範囲 20.6~55.1)であった(末梢血のベクターコピー数は 1 細胞あたり 4.4 コピー,3.2 コピー,4.8 コピー).累積追跡期間 81 ヵ月(追跡期間中央値 14 ヵ月,範囲 9~27)における年間出血率は,5 例全例で 0 であった.

結 論

血友病 A に対する,レンチウイルスベクター形質導入自家 HSC を用いた遺伝子治療により,第 VIII 因子が安定して発現し,第 VIII 因子活性には,末梢血のベクターコピー数との相関が認められた.(インド政府科学技術省ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05265767,Clinical Trials Registry–India 番号 CTRI/2022/03/041304)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 450 - 7. )