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January 30, 2025 Vol. 392 No. 5

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遺伝性血管性浮腫に対する CRISPR ベースの治療
CRISPR-Based Therapy for Hereditary Angioedema

D.M. Cohn and Others

背景

遺伝性血管性浮腫は,重度の予測不能な浮腫発作を特徴とするまれな遺伝性疾患である.NTLA-2002 は,クラスター化された,規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)–CRISPR 関連蛋白質 9(Cas9)に基づく,生体内遺伝子編集療法である.NTLA-2002 は,カリクレイン B1 をコードする遺伝子(KLKB1)を標的とするものであり,単回投与で血管性浮腫の発作を生涯コントロールできる可能性がある.

方 法

第 1・2 相試験の第 2 相パートで,遺伝性血管性浮腫の成人を,NTLA-2002 25 mg を単回投与する群,50 mg を単回投与する群,プラセボを投与する群に 2:2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,1~16 週目の期間中の,1 ヵ月あたりの血管性浮腫発作回数(月間発作率)とした.副次的評価項目は,安全性,薬物動態,薬力学(血漿総カリクレイン蛋白濃度のベースラインからの変化)などとし,患者報告アウトカムなどを探索的評価項目とした.

結 果

27 例が無作為化され,10 例が NTLA-2002 25 mg,11 例が 50 mg,6 例がプラセボの投与を受けた.1~16 週目の期間中の推定平均月間発作率は,NTLA-2002 25 mg 群で 0.70(95%信頼区間 [CI] 0.25~1.98),50 mg 群で 0.65(95% CI 0.24~1.76),プラセボ群で 2.82(95% CI 0.80~9.89)であった.プラセボ群との差は,NTLA-2002 25 mg 群で -75%,50 mg 群で -77%であった.NTLA-2002 の投与を受けた患者のうち,25 mg 群の 10 例中 4 例(40%)と 50 mg 群の 11 例中 8 例(73%)は,1~16 週目の期間中に発作がなく,追加治療を受けなかった.NTLA-2002 の投与を受けた患者において,とくに頻度の高かった有害事象は頭痛,疲労,鼻咽頭炎であった.ベースラインから 16 週目までの血漿総カリクレイン蛋白濃度の平均変化率は,25 mg 群で -55%,50 mg 群で -86%であり,プラセボ群では変化がなかった.

結 論

遺伝性血管性浮腫患者において,NTLA-2002 25 mg または 50 mg の単回投与により,血管性浮腫の発作が減少し,血漿総カリクレイン濃度に確固たる持続的低下がもたらされた.これらの結果は,より大規模な第 3 相試験で検討を続けることを支持している.(インテリア セラピューティクス社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05120830,EudraCT 登録番号 2021-001693-33)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 458 - 67. )