February 20, 2025 Vol. 392 No. 8
同種移植腎の微小血管炎症と臨床転帰
Microvascular Inflammation of Kidney Allografts and Clinical Outcomes
M. Sablik and Others
移植腎の微小血管炎症の臨床所見に不均一性があることが,腎移植の成功における大きな課題となっている.微小血管炎症が,同種移植腎の転帰にもたらす影響は明らかにされていない.
コホート研究を行い,欧州と北米の 30 を超える移植センターから,2004~23 年に同種移植腎の生検を受けていた腎移植レシピエントを組み入れた.臨床データと病理学的データを統合し,生検検体を,2022 年の同種移植腎病理のバンフ分類に従って分類した.この分類には,2 つの新たな診断カテゴリー,すなわち,抗体関連型拒絶反応疑い(probable)と,抗体関連型拒絶反応の所見を伴わない微小血管炎症が含まれている.次に,これらの新たに認識された微小血管炎症の表現型と,同種移植腎生着および病勢進行との関連を評価した.
6,798 例から採取した計 16,293 の移植腎生検検体を評価した.新たに認識された微小血管炎症の表現型は 788 検体で同定され,うち 641 検体は以前,拒絶反応の所見を伴わない検体として分類されていた.拒絶反応と診断されなかった患者と比較して,移植腎喪失のハザード比は,抗体関連型拒絶反応の所見を伴わない微小血管炎症患者では 2.1(95%信頼区間 [CI] 1.5~3.1)であり,抗体関連型拒絶反応患者では 2.7(95% CI 2.2~3.3)であった.抗体関連型拒絶反応疑いと診断された患者は,拒絶反応と診断されなかった患者よりも,生検後 5 年を過ぎての移植腎不全のリスクが高かった(ハザード比 1.7,95% CI 0.8~3.5).新たに認識された微小血管炎症の表現型のいずれかと診断された患者は,微小血管炎症を有しない患者よりも,追跡期間中に移植糸球体症が進行するリスクが高かった.
同種移植腎の微小血管炎症には異なる表現型があり,病勢進行,同種移植腎の転帰は多様である.これらの結果は,同種移植腎の診断法を標準化するために,追加的な拒絶反応表現型を臨床的に用いることを支持している.(オーガン X から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT06496269)