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February 20, 2025 Vol. 392 No. 8

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慢性腎臓病患者に対するエンパグリフロジンの長期効果
Long-Term Effects of Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease

The EMPA-KIDNEY Collaborative Group

背景

EMPA-KIDNEY 試験で,ナトリウム–グルコース共輸送体 2(SGLT2)阻害薬エンパグリフロジンは,進行リスクのある慢性腎臓病患者において心腎保護効果を示した.投与中止後にエンパグリフロジンの効果がどのように進展するかを評価する目的で,試験後追跡調査がデザインされた.

方 法

実試験では,慢性腎臓病患者を,エンパグリフロジン(10 mg を 1 日 1 回)を投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付け,中央値で 2 年間追跡した.患者は全例,推算糸球体濾過量(eGFR)20 mL/分/1.73 m2 体表面積以上 45 mL/分/1.73 m2 未満であるか,eGFR 45 mL/分/1.73 m2 以上 90 mL/分/1.73 m2 未満で尿中アルブミン/クレアチニン比(mg/g クレアチニン)200 以上であった.その後,同意が得られた生存患者を,さらに 2 年間観察した.試験後期間には,試験薬としてはエンパグリフロジンまたはプラセボを投与しなかったが,各施設の医師は,非盲検の SGLT2 阻害薬を,非盲検のエンパグリフロジンを含めて処方することが可能であった.主要転帰は腎臓病の進行または心血管死の複合とし,実試験期間の開始から試験後期間の終了まで評価した.

結 果

実試験で無作為化された 6,609 例のうち,4,891 例(74%)が試験後期間に登録された.この期間に SGLT2 阻害薬が非盲検下で使用された割合は,2 群で同程度であった(エンパグリフロジン群 43%,プラセボ群 40%).実試験期間と試験後期間を合計した期間中,主要転帰イベントは,エンパグリフロジン群の 3,304 例中 865 例(26.2%)と,プラセボ群の 3,305 例中 1,001 例(30.3%)に発生した(ハザード比 0.79,95%信頼区間 [CI] 0.72~0.87).試験後期間のみでは,主要転帰イベントのハザード比は 0.87(95% CI 0.76~0.99)であった.合計期間における腎臓病の進行リスクは,エンパグリフロジン群 23.5%,プラセボ群 27.1%であり,死亡または末期腎不全の複合リスクはそれぞれ 16.9%と 19.6%,心血管死のリスクはそれぞれ 3.8%と 4.9%であった.心血管系以外の原因による死亡のリスク(両群とも 5.3%)に対するエンパグリフロジンの効果は認められなかった.

結 論

進行リスクのある多様な慢性腎臓病患者において,エンパグリフロジンは,投与中止後最長 12 ヵ月間にわたり,心腎保護にさらなる利益をもたらし続けた.(ベーリンガーインゲルハイム社ほかから研究助成を受けた.EMPA-KIDNEY 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03594110,EudraCT 登録番号 2017-002971-24)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 777 - 87. )