The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 6, 2025 Vol. 392 No. 10

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

肥満治療と糖尿病予防のためのチルゼパチド
Tirzepatide for Obesity Treatment and Diabetes Prevention

A.M. Jastreboff and Others

背景

肥満は慢性疾患であり,2 型糖尿病をはじめとする多数の疾患の原因となる先行因子である.SURMOUNT-1 試験の先の解析で,チルゼパチドは,72 週にわたって肥満者の体重に大幅かつ持続的な減少をもたらすことが示された.この論文では,肥満と前糖尿病の両方を有する人における,チルゼパチドの 3 年間の安全性転帰と,体重減少および 2 型糖尿病への進展抑制における有効性を報告する.

方 法

第 3 相二重盲検無作為化比較試験を行い,肥満者 2,539 例(うち 1,032 例は前糖尿病状態)を,チルゼパチド 5 mg を週 1 回投与する群,10 mg を週 1 回投与する群,15 mg を週 1 回投与する群,プラセボを投与する群に 1:1:1:1 の割合で割り付けた.今回の解析では,肥満と前糖尿病の両方を有し,割り付けられた用量のチルゼパチドまたはプラセボの投与を計 176 週間受け,その後 17 週間休薬した参加者を対象とした.体重のベースラインから 176 週までの変化率,176 週間における 2 型糖尿病の発症率,193 週間における 2 型糖尿病の発症率の 3 つを重要な副次的評価項目とし,第 1 種の過誤を制御した.

結 果

176 週の時点で,体重の平均変化率は,チルゼパチド 5 mg 群で -12.3%,10 mg 群で -18.7%,15 mg 群で -19.7%であったのに対し,プラセボ群では -1.3%であった(プラセボとの比較すべてについて P<0.001).2 型糖尿病と診断された参加者は,チルゼパチド群のほうがプラセボ群よりも少なかった(1.3% 対 13.3%,ハザード比 0.07,95%信頼区間 [CI] 0.0~0.1,P<0.001).チルゼパチドまたはプラセボを 17 週間休薬したあとの 2 型糖尿病の発症率は,チルゼパチド群 2.4%,プラセボ群 13.7%であった(ハザード比 0.12,95% CI 0.1~0.2,P<0.001).新型コロナウイルス感染症を除いて,もっとも頻度の高かった有害事象は消化器系の事象であり,大部分は軽度~中等度で,主に試験の最初の 20 週間の用量漸増期に発現した.新たな安全性シグナルは確認されなかった.

結 論

前糖尿病と肥満を有する人にチルゼパチドを 3 年間投与した場合,プラセボを投与した場合と比較して,体重が大幅かつ持続的に減少し,2 型糖尿病に進展するリスクが著明に低下した.(イーライリリー社から研究助成を受けた.SURMOUNT-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04184622)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 958 - 71. )