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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 30, 2003
Vol. 348 No. 5

This Week in the JOURNAL

ORIGINAL ARTICLES

  • 微量アルブミン尿を伴う2 型糖尿病患者における多因子介入
    Multifactorial Intervention in Patients with Type 2 Diabetes and Microalbuminuria

    微量アルブミン尿を伴う2 型糖尿病患者における多因子介入

    心血管疾患の発症は 2 型糖尿病患者,とりわけ微量アルブミン尿を伴う患者にとって大きな問題である.著者らは非盲検並行群間比較試験において,従来治療と強化治療とを比較した.後者では生活習慣改善療法と,高血糖,高血圧,脂質代謝異常,微量アルブミン尿に対する薬物治療を段階的にすすめ,さらに心血管疾患の二次的予防を行った.

    2 型糖尿病患者において,複数の危険因子に向けた目標志向型の強化介入を長期にわたって行うと,心血管イベントや微小血管イベントのリスクが約 50%軽減する.このことから強化療法は長期的に有効であることが示された.

  • オンポンプ冠動脈バイパス術とオフポンプ冠動脈バイパス術の比較
    On-Pump versus Off-Pump Coronary Bypass Surgery

    心肺バイパスの合併症を回避するため,「オフポンプ」冠動脈バイパス術中に,拍動している心臓を安定させる技術が開発されている.2 つの方法に関するこの無作為比較対照研究では,1 年目の臨床転帰やグラフト開存には有意差はみられず,オフポンプ法のほうが費用効果が高かった.

    この研究の患者は,主に 1 枝または 2 枝病変をもつ,概してリスクの低い患者であった.冠動脈バイパス術を受ける患者の相当部分を構成する 3 枝病変患者には,オフポンプ術の結果は必ずしも当てはまらないであろう.

  • 腹膜透析と中皮細胞の上皮から間葉への移行
    Peritoneal Dialysis and Epithelial-to-Mesenchymal Transition of Mesothelial Cells

    持続的携帯型腹膜透析では,生体不適合性の溶液が腹膜を浸し,中皮細胞の露出と,最終的には組織繊維症を引き起す.この研究では,透析溶液の廃液から採取した中皮細胞の特徴を明らかにした.透析開始直後,腹膜の中皮細胞は,上皮形態の進行性の喪失と繊維化状態に特徴的な遺伝子発現の変化と共に,上皮表現型から間葉表現型への移行を認めた.

    透析中に起る腹膜の変化に中皮細胞が関与している可能性がある.これらの知見は,新たな透析液のデザインに向けた標的と,患者をモニタリングするためのマーカーを示唆している.

SPECIAL ARTICLE

  • 天然痘ワクチン接種方針のモデル
    A Model for a Smallpox-Vaccination Policy

    著者らは,仮想の天然痘攻撃発生時における,さまざまなワクチン接種方針の影響を推定した.天然痘攻撃発生前に国民へワクチン接種を行うことにより,約 500 人の死者が出ると考えられる.空港が攻撃されたとすると,天然痘による死者は 50,000 人になると考えられるが,その大半は国民への事前のワクチン接種により回避できるであろう.天然痘ワクチン接種は,攻撃の可能性がかなり高い場合にのみ,救命効果があると考えられる.

    ワクチン接種に関連して死亡例が生ずるのは確実だが,攻撃による大量死の確率と比較して評価しなければならない.適切な国家戦略は,攻撃の確率によって決る.このモデルは,政策決定を導くための確率閾値を定義している.

  • 社会と天然痘の脅威
    The Public and the Smallpox Threat

    この全国調査は,米国国民の天然痘に関する知識が十分でないことを明らかにした.国民の大半は,天然痘の治療が可能であり,過去 5 年間に天然痘の症例があると誤解している.回答者の大半は,医師にワクチン接種を断られたらワクチン接種に同意しないと述べた.

    天然痘に関する国民の教育が必要である.医師は,天然痘ワクチン接種に対する国民の意見と決断を方向付けるうえで,非常に重要な役割を果す可能性が大きい.

CLINICAL PRACTICE

  • 月経前不快気分障害
    Premenstrual Dysphoric Disorder

    33 歳の女性は,月経開始 1 週間前から始まり月経開始後 3 日以内に消失する,苛立ち,号泣,気分のむら,ひどい倦怠感を報告している.症状は,患者の通常の社会生活を妨げ始めている.医師は,この患者をどのように治療すべきであろうか?

    月経前不快気分障害は重症型の月経前症候群であり,生殖年齢の女性の 3~8%にみられる.

CURRENT CONCEPTS

  • 種痘疹にはどの程度感染性があるか?
    How Contagious Is Vaccinia?

    天然痘ワクチン接種には,よく知られた有害事象のリスクが伴うが,生ウイルスが二次伝播するリスクからも,問題が生じる可能性がある.この総説は,院内感染や家族内伝播の可能性に関して明らかになっていることを考察している.ワクチン接種政策への影響についても評価している.