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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
October 2, 2003
Vol. 349 No. 14
ORIGINAL ARTICLE
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複雑な冠動脈疾患におけるシロリムス溶出ステント
Sirolimus-Eluting Stents in Complex Coronary Diseaseシロリムス溶出ステントは,単独の冠動脈病変におけるバルーン拡張術後の再狭窄予防に有望であることが示されている.この臨床試験では,複雑な冠動脈病変を有する患者において,シロリムス溶出ステントと標準ステントとを比較した.シロリムス溶出ステントは,再狭窄および新生内膜過形成の予防に優れていることが証明された.
シロリムスで被覆した冠動脈ステントは,単独の複雑な冠動脈狭窄の予防にかなり有望である. -
伝染性単核球症後のホジキンリンパ腫の特徴
Characteristics of Hodgkin's Lymphoma after Infectious Mononucleosis若年成人 60,000 例以上を対象とした研究では,伝染性単核球症の既往はホジキン病のリスクを有意に増加させたが,このリスク増加は腫瘍組織がエプスタイン・バーウイルス(EBV)を含む場合にのみ認められた.
この研究は,伝染性単核球症,EBV,そしてホジキン病発生の 3 つを,説得力をもって関連付けている.絶対数では,伝染性単核球症後のホジキン病のリスクは低い(1,000 人当り約 1 例). -
血液濾過による X 線造影剤誘発性腎症の予防
Prevention of Radiocontrast-Agent-Induced Nephropathy by Hemofiltration腎不全に罹患していると,経皮的冠動脈介入後の X 線造影剤誘発性腎症のリスクが増大する.この研究では,高リスク患者の造影剤誘発性腎症の予防における,集中治療室(ICU)での予防処置としての血液濾過と,回復室での生理食塩液の静脈内持続注入とを比較した.腎機能低下の起る頻度は血液濾過で低かった(5% 対 50%,P<0.001).院内死亡率および累積 1 年死亡率は血液濾過群で低かった.
ICU における周術期血液濾過は,造影剤の腎毒性に起因する腎機能低下の予防に有効と考えられる. -
小児における侵襲性肺炎球菌疾患予防のための新しいワクチン
A New Vaccine to Prevent Invasive Pneumococcal Disease in Children南アフリカの小児 39,836 例を対象としたこの比較臨床試験では,9 価肺炎球菌結合型ワクチンの有効性を評価した.ワクチン接種は,HIV 陰性の小児と HIV 陽性の小児で,侵襲性肺炎球菌疾患の発生率を減少させ,X 線所見で確認された肺炎の初回エピソード数を減少させた.
この結合型ワクチンは,HIV 感染が肺炎球菌疾患の主要な危険因子である国で有用である可能性がある.また,付加的な利益として,ペニシリン耐性株による疾患の発生率が減少することが考えられる.
SPECIAL ARTICLE
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膝関節形成術における人種的,民族的および地域的格差
Racial, Ethnic, and Geographic Differences in Knee Arthroplastyメディケアの出来高払い制度の集団全体を対象としたこの研究では,米国における膝関節形成術の施行には,人種的・地域的にかなりの差があることが示された.地域差は,全米での関節形成術の施行率の人種差を一部説明していた.しかし,ほぼすべての地域において,関節形成術の施行率が黒人男性で非ヒスパニック系白人男性よりも有意に低いことは,地域差によっては説明されなかった.
この研究は,医療処置の施行における人種格差を理解し,その解決に向けて取り組むために,地域差を検討することが重要であるという可能性を強調している.
CURRENT CONCEPTS
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慢性便秘
Chronic Constipation慢性便秘は,よくみられる症状で,消耗性となる場合もあるが,治療はむずかしい.この総説では,大腸通過と排便に関連する生理的な過程について述べている.また,患者の評価について,臨床管理の最新の方法と共に要約している.