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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 13, 2003
Vol. 349 No. 20

ORIGINAL ARTICLES

  • 心筋梗塞におけるバルサルタン,カプトプリル,またはその併用
    Valsartan, Captopril, or Both in Myocardial Infarction

    心筋梗塞におけるバルサルタン,カプトプリル,またはその併用

    アンジオテンシン変換酵素阻害薬カプトプリルは,左室機能不全または心不全を併発した心筋梗塞の患者に有益であることが知られている.この研究では,そのような患者を対象に,カプトプリルとアンジオテンシン受容体拮抗薬バルサルタン,およびその 2 剤の併用を比較した.死亡率は 3 群で同程度であったが,併用療法では副作用がより多かった.

    カプトプリルに忍容性のない,左室機能不全あるいは心不全を併発した心筋梗塞の患者では,バルサルタンが代替療法として使用可能である.しかし,併用療法では有用性は増大しない.

  • CTLA4Ig による慢性関節リウマチの治療
    Treatment of Rheumatoid Arthritis with CTLA4Ig

    この無作為試験では,関節リウマチ患者を対象に,T 細胞の活性化を阻害する新規薬剤 CTLA4Ig の有効性を評価した.6 ヵ月間の治療後,関節リウマチの症状や徴候が少なくとも 20%改善したのは,10 mg/kg 体重の CTLA4Ig を受けた患者では 60%であったのに対し,プラセボ群患者では 35%であった.

    より長期間の研究が必要であるが,この 6 ヵ月間の試験は,CTLA4Ig による T 細胞活性化の遮断が,関節リウマチの有効な新しい治療法となる可能性を示唆している.

  • 胎児内視鏡気管閉塞術
    Fetal Endoscopic Tracheal Occlusion

    この無作為対照試験では,妊娠 23~27 週に,胎児内視鏡気管閉塞術によって先天性横隔膜ヘルニアの治療を行ったが,三次医療センターで標準療法を受けた新生児と比較して,生存率は改善しなかった.

    この否定的な結果から,子宮内治療を広く実施する前には無作為対照試験を行う必要性があることが強調される.

  • パーキンソン病における視床下核刺激後 5 年間の追跡
    Five-Year Follow-up after Subtha- lamic Stimulation in Parkinson's Disease

    この 5 年間の追跡研究において,両側視床下核刺激による治療を受けた進行期パーキンソン病患者は,ドパミン作動薬の最終投与後 8~12 時間後(休薬時)の検査時には運動機能および日常生活動作能力の著明な改善を,薬物治療の利益が最大のとき(服薬時)にはジスキネシアの著明な改善を維持した.しかしながら,無動,発語,姿勢の安定性,すくみ足の発生,認知機能は,追跡 1 年目から 5 年目のあいだに悪化した.これはパーキンソン病の自然経過に一致する.

SPECIAL ARTICLE

  • 痴呆家族との死別が家族介護者に与える影響
    Effects of Bereavement on Family Caregivers of Persons with Dementia

    著者らは,痴呆患者への終末期介護を行っていた家族介護者の経験について述べている.患者の死亡前の 1 年間に,多くの介護者が,自分は 1 日 24 時間「勤務態勢」にあると感じ,抑うつ症状があったと報告した.これらの症状は,多くの場合患者の死後解消され,また 72%の介護者は,患者の死により解放されたと報告した.これらの知見は,痴呆患者への家族による終末期介護は,負担とストレスが大きなものであることを浮き彫りにしている.

MEDICAL PROGRESS

  • 慢性疼痛に対するオピオイド療法
    Opioid Therapy for Chronic Pain

    末期疾患とは関連のない慢性疼痛患者を治療する医師にとって,オピオイド療法を開始するかどうか,また,どのように処方するかはむずかしい判断である.オピオイド療法は,そのような患者の多くで疼痛を緩和し,気分と機能レベルを改善する可能性がある.この総説では,悪性疾患に関連のない慢性疼痛を有する患者に対するオピオイド療法の現行ガイドラインを検討し,注意事項,不確実な領域および管理方策について概説している.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 神経,脂肪,インスリン抵抗性
    Nerves, Fat, and Insulin Resistance

    神経,脂肪,インスリン抵抗性

    マウスの脂肪沈着において副交感神経系を遮断した結果から,この系の活性が脂肪合成率を増大させ,そのため体のさまざまな部分で脂肪蓄積率が異なってくる可能性があることが示唆されている.