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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 10, 2004
Vol. 350 No. 24

ORIGINAL ARTICLES

  • 術後の悪心・嘔吐の予防に関する 6 種類の介入
    Six Interventions for the Prevention of Postoperative Nausea and Vomiting

    術後の悪心・嘔吐の予防に関する 6 種類の介入

    この要因研究では,デキサメタゾン,ドロペリドール,オンダンセトロンおよび全静脈麻酔を予防的に使用したところ,それぞれ術後の悪心・嘔吐のリスクが同程度低下した.悪心・嘔吐のリスクが高い患者集団では,その発生率は,制吐を目的とした介入を行わなかった患者で 52%,介入を行った患者では,1 種類で 37%,2 種類で 28%,3 種類で 22%であった.
    制吐療法はいくつかあるが,その有効性は同程度であった.制吐薬は,費用と副作用に基づいて選択されるべきである.術後の悪心・嘔吐のリスクが高い患者では,2 種類以上の介入を行うのが適当であると考えられる.

  • 抜管後の呼吸不全に対する非侵襲的換気法
    Noninvasive Ventilation for Respiratory Failure after Extubation

    呼吸不全で挿管し,その後抜管した患者では,約 6 人に 1 人で再挿管が必要となる.この多施設共同試験では,抜管後 48 時間以内に,あらかじめ定義した再発性呼吸不全の判定基準に適合した患者(うち約 10%が慢性閉塞性肺疾患)を,内科的治療(必要な場合はその後再挿管)または呼吸マスクによる非侵襲的換気法(必要な場合は同様にその後再挿管)に無作為に割付けた.両群間で再挿管率に差はなかった.集中治療室での死亡率は,非侵襲的換気群のほうが標準的治療群よりも高かった.
    非侵襲的マスク換気は,再挿管に対する有効な代替法ではない.

  • 進行性上咽頭癌患者における血漿 EBV DNA の定量
    Quantification of Plasma EBV DNA in Patients with Advanced Nasopharyngeal Carcinoma

    上咽頭癌は,EB ウイルス(EBV)感染と密接に関連している.この研究では,血漿 EBV DNA の測定が,上咽頭癌患者のモニタリングに有用である可能性が示されている.
    上咽頭癌患者の主な死因は遠隔再発である.この研究では,再発が臨床的に明らかになる前に血漿 EBV DNA 濃度が上り始めることが示され,治療的介入の機会が示唆されている.

  • HIV-1 感染小児における抗ウイルス療法
    Antiviral Regimens in HIV-1–Infected Children

    この第 I/II 相試験では,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)に感染した乳児 52 例が,3 種類の抗ウイルス療法の組み合せのいずれかを用いた治療法に割付けられた.生後 3 ヵ月以内に治療を開始し,逆転写酵素阻害薬のみで治療するのではなくスタブジン+ラミブジン+ネビラピン+ネルフィナビルの組み合せで治療することが,HIV-1 の効果的な抑制に関連していた.
    小児では,成人よりも HIV-1 疾患の進行が早い.この試験は,200 週を超える積極的な抗ウイルス療法が小児において実施可能であり,有害作用も少ないことを示している.

BRIEF REPORT

  • フォン・ヒッペル–リンダウ病における内リンパ嚢腫瘍
    Endolymphatic-Sac Tumors in von Hippel–Lindau Disease

    フォン・ヒッペル–リンダウ病における内リンパ嚢腫瘍

    この“Brief Report”では,顕微鏡的な内リンパ嚢腫瘍のため聴覚障害をきたしたフォン・ヒッペル–リンダウ病患者 3 例について報告している.2 例では,腫瘍細胞のフォン・ヒッペル–リンダウ遺伝子に変異がみられた.これらの症例は,X 線で検出できない内リンパ嚢腫瘍が,フォン・ヒッペル–リンダウ病の患者に聴覚障害を引き起す可能性のあることを示している.

MEDICAL PROGRESS

  • ニューモシスチス肺炎 ― 臨床研究および基礎研究から得られた洞察
    Pneumocystis Pneumonia ― Insights from Clinical and Basic Research

    ニューモシスチス肺炎は,依然としてヒト免疫不全ウイルスに感染した患者でもっとも一般的な日和見感染症である.分子生物学的手法により,この真菌の複雑な細胞生物学に新たな洞察がもたらされている.著者らは,ニューモシスチスの細胞生物学,生化学,遺伝学に関するここ数年間の研究から得られた進展について概説し,ニューモシスチス肺炎の診断および予防と治療への提言を行っている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 直腸出血を呈する男性
    A Man with Rectal Bleeding

    5 ヵ月にわたって直腸からの出血がみられる 61 歳の男性が,下部直腸の腺癌の治療のため紹介されてきた.この論文では,下部直腸の腺癌の診断,病期分類,管理について述べている.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 糖尿病性神経障害の予防
    Protection against Diabetic Neuropathy

    糖尿病性神経障害のラットにエリスロポエチンを投与すると,神経と筋肉の生化学的・物理的欠損が予防され,部分的に回復する.しかし,ある副作用のため,この治療法を即座に患者に適用することは制限されている.