- 目 次
-
This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
December 16, 2004
Vol. 351 No. 25
ORIGINAL ARTICLE
-
試験分娩と選択的反復帝王切開の比較
Trial of Labor versus Repeated Elective Cesarean Section帝王切開の既往がある単胎妊娠の女性を対象とした,この 4 年間の多施設共同観察研究において,試験分娩は,選択的帝王切開と比較し,絶対リスクは低かったものの,母体の症候性の子宮破裂のリスクと乳児の低酸素性虚血性脳症のリスクが高かった.この研究から得られた知見は,帝王切開既往後の分娩形態に関する選択肢について,女性に情報を提供するさいに役立つであろう.
-
造血器腫瘍の強化療法後の口腔粘膜炎に対するパリフェルミン
Palifermin for Oral Mucositis after Intensive Therapy for Hematologic Cancers口腔粘膜炎は,骨髄移植の前処置に行われる放射線化学療法の副作用であり,体力を消耗させる,危険な副作用となりうる.パリフェルミンは組換えヒトケラチノサイト成長因子であるが,この研究では,パリフェルミンにより,高用量放射線化学療法後に生じる重症の口腔粘膜炎の発生率が低下し,罹病期間が短縮されることが示された.
放射線化学療法による重症の口腔粘膜炎を管理するさい,通常行われるのは緩和療法である.パリフェルミンの投与は,この合併症の予防法として有望である. -
炎症マーカーと冠動脈心疾患のリスク
Inflammatory Markers and the Risk of Coronary Heart Diseaseこの研究では,ベースライン時に心血管疾患のない男性および女性から成る大規模なコホート集団において,C 反応性蛋白(CRP)やその他の炎症マーカーの値と,冠動脈心疾患のリスクとの関連性を検討した.6~8 年の追跡期間中,CRP 値が 3.0 mg/L 以上の男女では,冠動脈イベントのリスクは,1 mg/L 未満の人の 1.68 倍であった.
CRP 値よりも脂質濃度のほうが冠動脈リスクのより優れた予測因子であったが,それでも CRP 値は,男女で共に有意なリスク予測因子であった. -
急性感染症後の心筋梗塞と脳卒中
Myocardial Infarction and Stroke after Acute Infection英国一般診療研究データベースのデータをもとにしたこの大規模研究では,心筋梗塞や脳卒中の発生率が,急性呼吸器疾患の診断後,最初の 3 日間のあいだに急激に上昇した.これには及ばないものの,急性尿路感染症のあとにも発生率は上昇した.一方,インフルエンザ,破傷風,肺炎球菌のワクチン接種後には,リスクの上昇はみられなかった.
この研究は,炎症がアテローム性動脈硬化症の重要な因子であるという概念を支持するものであり,また,ワクチン接種では血管系イベントのリスクは上昇しないということも再確認している.
BRIEF REPORT
-
黄体形成ホルモン β サブユニット遺伝子に変異のある患者における性腺機能低下症
Hypogonadism in a Patient with a Mutation in the Luteinizing Hormone Beta-Subunit Gene性腺機能低下症,思春期遅発症,血中黄体形成ホルモンの欠乏がみられる 30 歳の男性において,黄体形成ホルモンの β サブユニットをコードする遺伝子にホモ接合性のミスセンス変異(Gly36Asp)が見付かった.男性では,この変異のために,黄体形成ホルモンのヘテロ二量体化と分泌とが抑制されていることが判明した.ヒト絨毛性ゴナドトロピンを用いた治療により,テストステロンの循環量が増加し,男性化が促進され,正常精子が低濃度で出現した.この例は,男性の性的成熟と生殖能に黄体形成ホルモンが果す,重要な生理学的役割を説明している.
CLINICAL PRACTICE
-
狂犬病の予防
Prophylaxis against Rabiesニュージャージー州で,生後 6 ヵ月の女児が乳児健診を受診する.母親は,女児の寝室で見付けたコウモリの死体のことを心配している.バージニア州のビジネスマンは,仕事後に自宅のテラスでくつろぎながら,飼っている子犬の口から玩具を取り出す.彼は,塀で囲われた庭にアライグマの死体があることに気付く.そこは子犬の遊び場であり,電話で助言を求めてきている.ジョギング中に野良犬に噛まれた南米の同僚から,電子メールを受け取る.彼女は医学的所見を求めている.これらの状況にどのように対応すればよいであろうか?
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
-
頭蓋に大きな腫瘍を有する男性
A Man with a Large Tumor of the Skull40 歳の男性が,頭頂部に腫瘤があることに気付いた.画像検査で,骨と軟部組織に浸潤した,硬膜を中心とする腫瘍がみられた.病変部が切除され,形質細胞腫と診断された.追加の病期分類検査では,多数の溶解性骨病変が明らかとなったが,パラプロテインは認められず,骨髄生検と骨髄穿刺の結果も陰性であった.討論者らは,多発性骨髄腫の管理における最近の進歩について概説している.