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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
August 12, 2004
Vol. 351 No. 7
ORIGINAL ARTICLE
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院外心停止に対するパブリック・アクセス除細動
Public-Access Defibrillation for Out-of-Hospital Cardiac Arrest自動体外式除細動器(AED)は,訓練を受けた公共安全職員が使用した場合に,院外心停止後の転帰を改善することが知られている.この研究では,訓練を受けた一般市民が,ショッピングモールやレクリエーション施設などの公共の場所で AED を使用した場合にも,同じことが当てはまることが示された.
この試験の結果は AED のより広範な使用を奨励するものであるが,院外心停止の大部分は公共の場所ではなく自宅で起るため,公衆衛生上の効果は限定されている. -
院外心停止に対する二次救命処置
Advanced Cardiac Life Support in Out-of-Hospital Cardiac Arrest早期除細動は,院外心停止の転帰を改善することが知られている重要な介入である.この研究では,二次救命処置(気管内挿管と薬剤の静脈内投与)を早期除細動プログラムに加えても,転帰はそれ以上改善しないことが明らかになった.
生存して退院する割合は,二次救命処置の有無にかかわらず 5%であったことから,この重大な医療問題に取り組むためには,新しい方法が早急に必要である. -
CML における白血病幹細胞の候補としての顆粒球マクロファージ前駆細胞
Granulocyte-Macrophage Progenitors as Candidate Leukemic Stem Cells in CML慢性骨髄性白血病(CML)が慢性期から急性転化期へ進行するメカニズムは明らかにされていない.この研究者らは,BCR-ABL 遺伝子の増幅および β カテニン経路の活性化に伴い,自己複製能をもつ顆粒球マクロファージ前駆細胞群が増大するという,驚くべき知見を報告している.
この研究により,CML の進展に関する研究に思いも寄らない道が開け,CML 治療の新しいターゲットに注目が集まるであろう. -
昆虫の刺傷による小児期アレルギーの転帰;毒液免疫療法を受けた場合と受けなかった場合
Outcomes of Childhood Allergy to Insect Sting, with and without Venom Immunotherapy膜翅目の昆虫に刺される小児では,およそ 100 例に 1 例の割合で全身性のアレルギー反応が現れる.小児のこれらの反応は,成長に伴い消失する可能性があることが示唆されているが,この問題に関するデータはほとんどない.この研究者らは,毒液免疫療法で治療を受けた小児を含む,昆虫の刺傷に全身性のアレルギー反応を示した大規模な小児群に関して,記述的追跡データを提示している.多くの小児でアレルギーは成長に伴い消失したが,消失しなかった小児も多数いた.免疫療法による多少の予防効果が,10~20 年後に認められた.
CLINICAL PRACTICE
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全般性不安障害
Generalized Anxiety Disorder抑うつの家族歴を有する 59 歳の女性が,自分は一生「心配性である」といい,定期的な診察のさいに,眠りが浅く,筋肉が緊張し,疲労感があると訴えている.最近女性は,子供,仕事,健康に関して非常に心配しており,家庭生活と仕事にわるい影響が出ている.この女性をどのように治療すべきであろうか?
DRUG THERAPY
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フォン・ウィルブランド病の治療
Treatment of von Willebrand's Diseaseフォン・ウィルブランド病は遺伝性出血性疾患で,スクリーニング試験によれば,有病率は一般集団で 1~2%にのぼる.しかし,症状があり,専門医に紹介された患者に基づく有病率は,100 万人当りわずか 30~100 例であると見なされており,これは血友病 A の有病率と同程度である.この論文では,フォン・ウィルブランド病の病態生理学や分子基盤の解明,そして管理における重要な進展について論じている.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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肥満,糖尿病,高血圧症を有する女性
A Woman with Obesity, Diabetes, and Hypertension49 歳の女性が,減量手術のために医師の評価を受けた.女性は小児期後期から肥満で,受診時の体格指数は 52 であった.ダイエットによる減量を維持できず,糖尿病と高血圧症に罹患していた.多分野にわたる専門家チームが,肥満の外科手術による管理について述べている.